文春文庫<br> 黄泉(よみ)の犬

文春文庫
黄泉(よみ)の犬

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  • サイズ 文庫判/ページ数 355p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167591052
  • NDC分類 292.5
  • Cコード C0195

出版社内容情報

「僕は今までそれを語ろうとしなかった」。インド、チベットを放浪してきた著者が、40年の時を経てその封印を解いた衝撃の書。

内容説明

「僕は今までそれを語ろうとしなかった…」。青春の旅を記録した『印度放浪』から34年―長きにわたり著者が封印してきた衝撃の体験が、ついに明かされる!オウム真理教事件にまつわる驚愕の新事実、そしてカルトに惹かれてゆく若者たちの心を繊細に描き出した藤原新也、インド紀行完結篇。

目次

第1章 メビウスの海(富士を見ていた少年;一九六八年のサティアン ほか)
第2章 黄泉の犬(手紙;窓 ほか)
第3章 ある聖衣の漂泊(彼方の旅;一枚の写真 ほか)
第4章 ヒマラヤのハリウッド(煩悩力;そこから世界がはじまる ほか)
第5章 地獄基調音(地獄をさまようエリカ;レッド・ランプ ほか)

著者等紹介

藤原新也[フジワラシンヤ]
1944年、福岡県生まれ。東京芸術大学油画科中退。インドを振りだしにアジア各地を旅して『印度放浪』『西蔵放浪』『全東洋街道』などを著す。第3回木村伊兵衛写真賞、第23回毎日芸術賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

安南

51
オウムサリン事件の首謀者、麻原彰晃の視覚障害の原因が水俣の水銀被害によるものではないかという著者の仮説は現在では確かめる術はないが、そのような時代、環境に麻原が身を置いていたという事実は見逃せない。オウムの事件についての考察から、昨今のインド巡礼をはじめとした、スピリチャルブームを痛烈に批判している。その一言々が著者自身、身をもって得た言葉だと思えるので説得力があり、脱カルト本としても大いに役立ちそうだ。ただ、語り口が偉そうで苦手。つい反発したい気持ちになってしまう。2015/02/05

らぱん

17
インド放浪、メメントモリ以来の藤原新也。ノンフィクションになっているが著者の強い思いが全面に出たエッセイと言える。サリン事件直後の断罪を叫ぶばかりの感情的で一方的な報道の在り方に疑問を投げかけた雑誌連載がことのはじまりで紆余曲折の後の出版という事情らしい。麻原彰晃から入りインドへ帰着する。オウム真理教は根幹である教義すら借り物のつぎはぎであり、ことにインドに由来するものが多く、著者はインドをよく知るものとして赦せなかったのだろう。おおむね賛同できるが著者の熱情が過剰に思えてしまい共感には至らなかった。2019/03/17

秋 眉雄

16
『以上のことが示すように70年代の半ばに始まり、それ以降、青年旅行者の間にいかなる理由によるものか「瞑想ウイルス」が大発生し、私はその年代に“たくさんの麻原彰晃”にすでに出会っていた。』自らのインド放浪を土台としてオウムを語る一冊。数多あるオウム関連本の中でも、かなりの異彩を放ったものであり、オウムについての本をまとめて読みたい方には是非ともその中の一冊に加えてもらいたい本です。2018/07/22

Ikuto Nagura

9
読み終わってからずっと混乱している。今までずっとバレてないと思っていた隠しごとを、実はずっと知っていたよと告げられた感じ。それも個人的なささやかな秘密なんかじゃない。何世代も前からおかしいと誰もが気づいていたのに、必死に誤魔化し、リアルさを隠蔽し、見ないようにしてきた、資本主義による自然の破壊や汚染、人間の家畜化、文化の荒廃…。その欺瞞から逃れようとすれば「現実不適合からカルトや誇大妄想へ。そして妄想から強迫神経症へ。被害妄想から攻撃へ」とつながる者らが生み出される。そのひとつの到達点としてのオウム事件。2015/05/13

mittsko

5
インド関係者のオウム論… マイ必読の一冊であることは知っていたけど ちょいと手を出せずにいた どうせすごく共感して読んじゃうだろうな…って分かってたからだ そして…やっぱりすごく納得してしまった 藤原新也さん、1944年生れ 他の方の感想を読むと、その内面性とインド体験、神秘体験はインパクトをほとんど持たないようだけど… やはりこうした人間的事象の次元を無視はもちろん軽視すらすべきでない、というのがこの本の主張であり…ボク自身それに賛同するのであり… どうしたもんかなぁ(´・ω・`)2014/07/09

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