出版社内容情報
姉の七回忌のために婚約者と故郷の奈良に帰ってきた玲は、姉が首を吊った蔵の中で珍しい鏡を見つける……それが惨劇の幕開けだった
内容説明
婚約者の広樹と共に帰郷した玲は、かつて姉の綾が結婚を目前にして首を吊った蔵で、珍しい蛇の浮き彫りのある鏡を見つける。その日を境に、玲の心の中で何かが変わっていく。そして、様々な人間の思惑が絡み合う中、「みぃさんの祭り」がやってくる…。奈良を舞台に人の心の移ろいを描きだす傑作伝奇長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっぴー
76
細部にいたるまで丁寧に、よく作り込まれている作品だなぁと感じました。それでいてくどくない、けど軽くもない、絶妙なバランスが保たれた作品。婚約者と共に実家の奈良に帰省した玲が、蔵で不思議な鏡を見つけてしまい、そこから少しずつ崩れていくというホラー小説。鏡の正体や自殺した姉の秘密、みぃさんの祭り、謎が少しずつ解明していくプロセスも面白いのですが、結婚を前に揺れ動く心理が精密に描かれていて、玲の葛藤がリアルに伝わってきました。偉そうなこと言うようですが、人間が書けている。未読の『死国』も読んでみたいです。2017/09/10
takaC
64
怖い怖い。怖いよ奈良。え、違う?2016/01/08
メタボン
43
☆☆☆☆ 蛇神をめぐる伝奇小説。蛇神を御神体とする神社、裏に蛇の模様を持つ鏡(八咫鏡の複製)、そしてそれは古代メソポタミアから流れ着いたものという歴史ロマン。こういった題材をつなぎあわせ、結婚直前の女性の揺れる心境とシンクロさせていく、そのストーリーテリングの鮮やかさに脱帽した。惜しい作家を無くした。この作風であれば泉鏡花文学賞がふさわしいのに、受賞されなかったのは残念。2022/10/21
Tetchy
27
この人の小説は一筋縄ではいかない。予定調和で決して幕を閉じないのだ。人間の業はまだ終わらないというメッセージが共通して感じられる。そして、『死国』、『狗神』、この作品と3作品通して共通しているテーマが、死者の再生。生を営む者たちが心の奥底に潜ませている愛という名の傲慢さを発揮した時に、再生を虎視眈々と狙っている死せる者達が牙を剥く。そして坂東眞砂子はこの生者たちが己の感情の赴くままに犯す過ちを描くのが非常に巧い。しかしあの結末にはちょっと戸惑ったが・・・。2009/10/23
まりもんママン゚+.*ʚ♡ɞ*.+゚
23
【完全ネタばらし】蛇神様の100人の花嫁・・・これで揃ったから終わりと思ってたら最後の最後で「えぇ〜」って叫んで(心の中で)しまった。封じ込められていた蛇神様は100人の花嫁を得て蘇り、一成(かずなり)の身体に宿り玲(れい)と結婚して子供をわんさか作っていくって事なんだね〜((((;゚Д゚)))) ヒィ〜〜エライコッチャ!2012/11/09