出版社内容情報
モノとしての人間を究めると、社会の思わぬ一面が見えてくる。著者東大退官前後の思考の跡を示す、驚きと発見に満ちたエッセイ集
内容説明
学生の解剖実習につきあって約三十年、奇妙な生活のにおいが、私のどこかにしみ込んでいる―。「死体が素直に人間に見える」という著者が、“身体から見た社会”への興味を軸に語る、女、金、戦争、皇室、エイズ…。情報の渦のなかで見失われた物事の本質を鮮やかに浮び上らせる、痛快なエッセイ・書評集。
目次
女の強さ
金の恨み
実在感とはなにか
社会の安心
薬は効くのか
イメージの問題
老人問題
戦争の利点
憂国
世の中通らない〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ドナルド@灯れ松明の火
2
【後日追記】「涼しい脳みそ」の続編。 いよいよ養老節が炸裂するが、私にとってはそうだそうだと共感しきり。 養老氏は解剖学から脳の働きと人間の心の関係を断言するし、個性は心ではなく脳が司る、またその個性は肉体あっての個性だと言い切る。大脳生理学って非常に面白そうな学問である。 2008/08/10
hibimoriSitaro
1
再読。1998年10月初版。当初文章読本の例文みたいに感じた文体が,こちらがどんどん調教?されるせいか読みやすくなっていく。ただ,短文集ながらいちいち濃くて,読みとおすのに時間は掛かった。2022/12/13
ふくい
1
身体から通して見た社会、がメインとして据えられたエッセイ集。『諸君!』に連載していたものの文庫化であり、1つのエッセイが見開き2~3P程度と非常に読みやすい。医学、教育、政治、文学などジャンルは多岐にわたり、氏の教養の広さ、深さとそれらを横断的に結び付けて物事を思考する力の高さに驚かされる。なかでも登校拒否(不登校)問題は、社会が整備されれば整備されていくほど加速するといった逆説的な論が面白い。社会が整備されるということは一様化が進むこと、つまり、一様でないもの(不登校児)を排除することであるからだ。2018/05/11
蘇芳
1
抽斗の多さに驚き。ひとつひとつが短いのでぽんぽん読めます。2008/06/05
みけ
0
「二重盲検法」2016/12/11