出版社内容情報
神取しのぶ、天田麗文、デブラ・ミシェリーの足跡をたどり、女子プロレスの文化を通して「日本」を見つめ直す。第22回大宅賞受賞
内容説明
柔道の選手だった神取しのぶ、中国から来た天田麗文、アメリカ人のデブラ・ミシェリー。女子プロレスがティーンエイジャーの少女たちの間で熱いブームとなっていた80年代に活躍した、異質な三人の足跡をたどり、女子プロレスの文化を通して「日本」を見つめ直す。第22回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
目次
女子プロレス少女群像
彼女たちの歴史
アメリカの女神たちと女相撲
孫麗〓のプロレス
神取しのぶのプロレス
衝突!
ガイジンたちのプロレス
賭けの結末
麗〓の帰郷とミシェリー家のクリスマス
彼女たちのいま
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
194
第22回(1991年)大宅壮一ノンフィクション賞。 昭和の女子プロレスブームだった1980年代の 雰囲気が今に伝わる本である。 女子プロレスラーとして生きた3人の女性を 通して、当時の日本の風景を描く… 女子柔道が まだオリンピックの正式種目でも なかった時代に 生きた 女性プロレスラーたちが 見た夢は何だったのか? 異質の3人を描きながら、どこか 不思議な 共感を覚える、そんな本だった。2017/10/22
チャリー・コグコグ
18
女子プロレスラーたちのインタビュー記事をまとめた一冊。 Netflixの『極悪女王』が話題になってるタイミングKindleUnlimitedで見つけたら読むでしょう。ビューティーペア、クラッシュギャルズのブームを遠巻きに観ていた自分には衝撃の赤裸々な内容。個人的には長与千種より神取しのぶ、神取よりメデューサと麗ウェンの話に驚き。クラッシュギャルズ迄の時代は女子プロレスはスポーツではなく見せ物興行。そしてこののち女子プロレスの大きな変革。もっともっと知りたい世界だ。2024/10/27
itchie
16
『極悪女王』を観たら読むべき1991年の大宅賞受賞作。唯一、受賞に反対した立花隆が「プロレスというのは知性と感性が同時に低レベルにある人間だけが楽しむことができるもの」と言い放ったことでも有名だが、これを読んでも女子プロレスの何たるかがわからないことがあるんだろうか? 「女子プロレスはいわば"しょっきり"ではなく、実戦の本質を持った何かなのだ」「選手の感情と観客の感情が一体化したときに思いがけない力が生まれる」。これを読むと、『極悪女王』がいかに女子プロレスの本質を再映像化できているかも改めてわかるはず。2024/09/22
ランフランコ
13
正直な所もっと楽しい内容かと思っていたが、なかなかに真面目な内容にびっくり。プロレスというかなり異様な世界に飛び込んだ4人の話だが、長与千種は女子プロレス界のアントニオ猪木だな。革命的な選手で圧倒的なカリスマ性を誇っている。引退して30年ほど経つが長与を超えた女子プロレスラーは現れていないと思う。そして最も印象的なのは神取忍。紛れも無くこの本の主役は彼女だ。彼女の信念と覚悟はすさまじく、それを端的に言葉に表せる能力が素晴らしい。存在そのものが異質で稀代の格闘家だ。女子プロレス最強の男は伊達ではないのだ。2019/07/26
こまごめ
12
作者の井田真木子氏は故人。女子プロレスの成り立ちから話していて勉強になる。また女相撲はタイムスクープハンターでやっていましたし「菊とギロチン」って映画にもなっています。長与千種、メデューサ、神取忍、天田麗文のドキュメント。女子プロレスラーを取り巻く当時の日本の空気感をよく切り取ってますし、作者が女性なのでよりレスラーの内面に踏み込めたのではないかと思いました。神取忍ってすごく考えてプロレスしたからトップになれたのかと納得。心を折るは神取忍の言葉だがこの本から広まったようです。2022/07/04