内容説明
左足の付け根の痛みを意識するとき、33歳の省子の胸にゆっくりと広がるのは、人はいつか必ず朽ちてゆくという死の翳り―。妻子ある男性との穏やかで軽快な関係に満足しながらも、19歳の青年の若さに強く惹かれてゆく女性を描く表題作ほか、結婚という型にはまりきらない男と女の愛憎と葛藤、繊細な関係を映し出す八つの物語。
著者等紹介
藤堂志津子[トウドウシズコ]
北海道・札幌市生まれ。藤女子短期大学国文科卒業。学生時代より詩や小説を書き、広告代理店勤務を経て作家活動に入る。デビュー作「マドンナのごとく」で、昭和62年、第21回北海道新聞文学賞を受賞、同時に直木賞候補となる。平成元年「熟れてゆく夏」で、第100回直木賞受賞。以降、従来にない自由な視点から現代女性の心理をとらえた精緻な恋愛小説を書きつづけている。主な小説に「ソング・オブ・サンデー」(第8回島清恋愛文学賞受賞)「秋の猫」(第16回柴田錬三郎賞受賞)等がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しのぶ
21
最後は結婚という型にはまったゴールにはならない短編集。どの作品も派手な演出がある訳ではないのに揺らぐ感情が浮き彫りになる。タイトルにもなっている「かそけき音の」が一番印象深いかな。2020/02/25
Toshi
0
とても良かった。
rie
0
男と女にはいろんな形の恋愛があって良いんだよ。2011/02/19
ジョン・ワン次郎
0
オカン文庫20 40ページくらいのごく短い小説たちなんだけど、なんというか『一言で片づけられない」感がある。2010/01/30
修子
0
「かそけき」とは、かすかである、淡いという意味だそうだ。ちゃんとした意味がわからなくても読んでいるうちにニアンスはわかるあたりが、この作家さんの文章力なのかな。2007/11/26