文春文庫<br> 凍(しば)れる瞳

文春文庫
凍(しば)れる瞳

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  • サイズ 文庫判/ページ数 327p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784167534011
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

捕虜虐待の罪でBC級裁判で処刑された男と甲子園をめざして投げ合った不世出の元巨人軍投手スタルヒンの宿命の人生を描いた力作

内容説明

捕虜虐待の罪でBC級裁判で処刑された男と甲子園をめざして投げ合った不世出の元巨人軍投手スタルヒンの宿命の人生のかかわりあいを描いた表題作、廃鉱となった九州の端島とダム建設で東北の過疎となった山里を舞台に一人の女の転変の人生を描いた「端島の女」の直木賞受賞作を含む情感ただよう会心の作品集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaizen@名古屋de朝活読書会

122
直木賞】単行本のあとがきによると「わたし自身の性格がひねくれているからかもしれないが、世間的に大成功した事柄や人間にはあまり興味がない。大多数の人間にとって、人生は挫折の連続だと思うし、それがすなわち人生だと思う。」旭川近辺、野球と戦争を題材にした「凍(しば)れる瞳」、又鬼「頭領と親友(シカリとドヤク)」、「夜の運河(クロン)」、「端島の女」人間が根付いている。2014/05/01

のびすけ

28
4編の作品集。そのうち軍艦島を題材にした「端島の女」がお目当て。どの作品も戦後から高度成長期を時代背景に、人生の悲哀を描いている。「端島の女」は、大きな喪失感を味わった主人公が、廃墟になった軍艦島の深い暗闇に飲み込まれていくような余韻が印象的だった。2023/07/04

きのこ

19
直木賞83/188 広島から帰京する新幹線で読了。表題作と「端島の女」の二作での受賞だけど、他の二作もかなり乙です。どれも過去を回帰する筋立てで、最後は物悲しい結末。グッと来ました。2019/01/25

さんつきくん

11
1991年に出版された4つの中編集。99回直木賞受賞した「凍れる瞳」、「端島の女」、直木賞候補作だった「夜の運河」と「頭領と親友」の4作品。表題作の「凍れる瞳」は戦前戦後に活躍した大投手スタルヒンと旧制中学時代、甲子園を目指して投げ合った対戦相手の投手・田原との縁が田原の婚約者・良子を通して描かれている。戦争で運命を狂わされた3人のそれぞれの話しだった。「頭領と親友」は昭和40年代になり、秋田は阿仁の文化だったマタギがとうとう最後の一人になってしまった。最新設備を持つ猟友会の誕生と時代の移り変わりを描く2021/05/27

MIKETOM

8
第99回直木賞。ただし直木賞対象は二編、非対象が二編。やはり対象作品のほうがコクがあると感じた。全編に共通するのは、人生における悲哀、虚しさ、絶望など。暗めの作品集。表題作。捕虜虐待の罪で死刑判決が下ったB級戦犯。悪意はないが落ち度はあった。婚約者が助命嘆願に走り回る。そしてGHQの関係者が、かつて男から示された友情に報いようと努力するのだが…。この関係者というのがスタルヒン(戦前の巨人軍投手)というところが異色作。もちろんフィクションだが。全ては婚約者だった女の過去の思い出の中のこと。無常観溢れる作品。2023/09/05

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