内容説明
「南北分断の象徴」板門店の共同警備区域―韓国・北朝鮮両軍が対峙する最前線で、射殺事件が起きた。容疑者は韓国軍兵士。射殺されたのは北朝鮮の兵士。北による拉致・亡命説、南による侵入説が飛びかうなか、韓国系スイス人の捜査官が真相に迫る。そして衝撃の結末…韓国映画史上に金字塔を打ち立てたNo.1ヒット作の原作。
著者等紹介
朴商延[パクサンヨン]
1972年ソウル生まれ。中央大学英語学科卒業。96年、『DMZ』でデビューし、同書はたちまちベストセラーになる。またこれを原作とした映画「JSA」が韓国で空前のヒットを記録。現在構想中の作品は、「戦争、記憶、20世紀、予言、絶対悪、根元的な恐怖に関する作品」だと語っている
金重明[キムチュンミョン]
1956年東京生まれ。97年に『算学武芸帳』で第8回朝日新人文学賞を受賞。著書に長編小説『戊辰算学戦記』(朝日新聞社)、『皐の民』(講談社)など。訳書に『済州島四・三事件』(新幹社)、『シュリ』(文春文庫)など多数
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感想・レビュー
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茶幸才斎
3
韓国軍板門店警備兵の金秀赫が、国境を越えて北朝鮮人民軍の兵士1人を射殺、1人に重傷を負わせ、自らも負傷して軍事境界線上で倒れているのが発見された。放心し沈黙する彼の口から事件の真相を聞き出すのが、中立国監督委情報部少領で、かつて朝鮮戦争に従軍し、今は確執の只中にある父と、ケルト人の母を持つスイス国籍のわたし、ジグ・ベルサミの任務である。分断の歴史の中で生まれ無意識に育んだ生き方そのものが事件を説明する理由である、という悲愴な仕掛けに、お前たち外国人に理解できるか、と問う筆者の痛烈な意思が仄見え、総毛立つ。2016/01/05
ととむ
1
なかなか韓国人のツボが日本と違ってて面白い。同じ世代でも韓国と日本でこんなに違うもんなんかな。タイトルは原題のDMZのほがよくないすかね。2016/10/29
コホン
1
再読。この本を買って読んだときは単純に面白かったんだろうけど、今読むと本当におかしい。本来は中立的な立場であるべき主人公が南に思い入れたっぷり。訳者も中立的な立場にあるものが語っている、という前提でない言葉の使い方。国民性がにじみ出ている作品だった。2015/08/15
ななな(・・)
1
明け方のマックで読了。韓国の小説は初めて。先に映画を見ていたからわかりやすかったが、先がこっちだとイメージが付きにくいかも。2012/07/25
deko8th
1
映画とは違うストーリーもまた良かった。歯に衣を着せぬ解説も興味深い。2011/08/21