出版社内容情報
暴力、猟奇殺人、密告……悪と腐敗に充満した50年代ロサンジェルスを、悪徳渦巻く市警の内部を描くハードボイルド連作、初の映画化
内容説明
悪の坩堝のような50年代のロサンジェルス市警に生きる三人の警官―幼時のトラウマから女に対する暴力を異常に憎むホワイト、辣腕警視だった父をもち、屈折した上昇志向の権化エクスリー、麻薬課勤務をいいことに芸能界や三流ジャーナリズムに食指を伸ばすヴィンセンズ。そこへ彼らの人生を大きく左右する三つの大事件が…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
306
時は1950年代の前半。山の手には虚構と幻想の都、ハリウッドが。そして郊外のアナハイムには今まさに夢の街ディズニーランドが建設されようとしていた。そして、幻の巷ならぬ、ここはLAのダウンタウン。暴力とドラッグと、ありとあらゆるこの世の不正が渦巻いている。本書は4部作シリーズの第3作目であるらしい。エルロイは初読なので知らずに読み始めたのだが、私のような読者はいきなり混沌の中に投げ出されることになる。これはこうしたクライムノベルだとは諒解しつつも、これについていくのは容易ではない。⇒コメントに続く2017/07/04
W-G
277
エルロイ作品の中で、なんだかんだいいながらも『LAコンフィデンシャル』が不動の個人的ベスト。中身としては、先の二作よりもぐっと陰謀小説よりになり、事件を解決するだけのミステリの枠を越え始めている。そんなことよりも主人公三名が全員好きすぎて、特にエクスリーのコンプレックス満載な屈折エリートぶりに妙に心惹かれる。登場人物の多さやプロットの複雑さもピークに達して、これを知ると他では満足しにくくなる。何度も読んでいるのに『ビッグ・ノーウェア』のテリー・ラックスが出ていることに今回ようやく気づいた。2023/08/14
まふ
110
黒人をボコボコにするLAPDの荒々しい状況はかつてニュースでよくお目にかかったが、その延長のようなオソロシイ警察官の物語。ケーサツというヤクザ組織が存在するかのような事件を警察官自身が起こす、などという設定は読んでいて愉快なものではなく、正直言うと私の好みではない。悪人どもに銃を向けて平気で半死半生にさせる警察官たちのこのハード感を好む人々は多いのだろうが…。まあ、我慢して下巻を読むこととしよう。G1000。2025/01/17
扉のこちら側
88
2016年777冊め。【212-1/G1000】『ビッグ・ノーウェア』からだいぶ間をおいて着手したが、冒頭で前作の顛末が描かれるなかなかの幕開けである。複雑に絡み合う事件と、人、妄執。みんな腹に一物抱えていて黒い。作中時間は結構長いようだ。ところでシリーズ各作品で役者は違うのだな。下巻へ。 2016/10/01
ゆいまある
81
よ、読みにくい。エルロイってこんなに読みにくかったっけ。最初の150ページは頭に入らなくて、何度も読み返して時間がかった。固有名詞が凄い勢いで出てくるので誰が誰かすぐ分からなくなる。エド、バド、ジャックの3人に注意しながら読み進む。それもいろんな呼び方があるから気をつけて。やがて流れが見えてくるけど、ホモフォビアの白人男性が黒人をやたら殺す話で結構酷い。ブラックダリアをまた読んでる気分。今の所エルロイぽい切なさは薄くて、それぞれが幸せを手にしかかってるところ。残酷になると予測して下巻へ。2020/08/09