出版社内容情報
第二次大戦後、旧満州で国府軍と中共軍の戦いにまきこまれた日本人に何が起きたか。当時七歳の少女が体験した凄まじい状況の記録
内容説明
長春からかろうじて脱出を果した一家が、朝鮮国境に近い延吉までたどりついた時、栄養失調の上に全身を結核菌に冒されて、少女は危い状態にいた。奇跡的に本復を遂げた後も、彼らにはまだ様々な災厄が待ちかまえていた。革命の洗礼、朝鮮戦争の勃発。戦後中国に留まったある家族の苛酷な体験をつづった衝撃のドキュメンタリー。
目次
延吉篇(自由の大地;解放区延吉;再びの命;何処へ―朝鮮戦争勃発;失われた時を求めて)
天津篇(天津の灯はさまよう)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
14
国民党と共産党の戦いにおいて食料封鎖が行われ30万人から100万人もの餓死者が出たと言われる長春。その狭間(チャーズ)に転がる無数の餓死者の間を通り抜け生き延びた著書が書き留めた貴重な記録。2015/05/30
がんぞ
2
前篇はあまりに悲惨で途中で読めなくなった(約30年前)。著者はチャーズ脱出当時8歳だがやせ細り昏睡に近かったらしい。抗生物質の劇的効用。著者の父が善人過ぎて本当と思えないくらい。新中国のために帰国せず製薬事業経営。朝鮮戦争・講和への共産圏の見方は本土と真逆。「反対運動もむなしく、ついに単独講和条約が結ばれてしまった」。大久保誉は中国人でないにも関わらず共産主義思想をよく体現し首席となるが級長は辞退。教えた馬先生は偉い(共産主義繁栄において)。恩知らず従業員に裏切られ帰国(共産主義で理想人間は作れなかった)2011/09/09
ゆたか
0
いざという時に、その人間の真価が問われる、それを随所で感じました。恩を忘れるというのは罪深いことだと思います。2012/05/07
ゆきまる
0
戦争だから食うや食わずで、日本に帰ってこれた人が多くいたことがよく判る。2019/10/26