出版社内容情報
江戸の占い本が女たちの吉凶をズバリ! 月ごとの風物を織り込みながら江戸の女を生き生きと描く、切なくも愛らしい傑作時代小説。
内容説明
江戸時代にも「占い」は流行し、女性たちはそのお告げに一喜一憂していた。実際に出版されていた占い本「女用知恵鑑宝織」。女の吉凶を生まれ月ごとにズバリあてるこの本をめぐる女の喜びと悲哀―。月ごとの風物を織り込みながら、江戸の女の恋愛を生き生きと描き出す、切なくも愛らしい傑作時代小説。
著者等紹介
杉本章子[スギモトアキコ]
昭和28(1953)年、福岡県に生れる。54年、「男の軌跡」で第4回歴史文学賞佳作入賞。平成元年、『東京新大橋雨中図』で第100回直木賞を受賞。14年、「信太郎人情始末帖」シリーズ第1作「おすず」で第8回中山義秀文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shizuka
63
1月〜12月までその月々に生を受けた女性のお話。生まれも育ちも境遇も様々。でもふと手にする占い本。信じる者、信じない者。それも様々。この占い本前世からの話を持ち出してその因果でこうだから、こうすべき。と断言してくる。時代を感じる。1月から始まって季節の香りを織り込めながらも、占いに気持ち揺らがせる女性の心もようを柔らかく書かれているのが印象的。私は9月の話が一番好きだったな。主人公の女性がとにかくかっこいい。自分の生まれ月の占い、結構楽しみにしてたけどイマイチでちょっとがっかり。ま、これも一興ですね。2017/04/01
ドナルド@灯れ松明の火
30
杉本さん直木賞後の短編集。江戸時代に実存した「女用知恵鑑宝織」の生まれ月ごとの占い本をテーマに1年12か月を書き描く。当時の女性たちのほろ苦く切ない話が多いが明るい未来の話もある。登場人物の言葉遣い含め、当時の情景がくっきりと目に浮かさすが直木賞作家だと感心する。藤沢周平の娘さんのあとがきでも、藤沢氏が杉本さんをこう評価していたことがわかる。お薦め2016/01/28
タツ フカガワ
21
生まれた月で運命を占う『女用知恵鑑宝織』という本をもとにした、12人の女たちの12編。表題作をはじめ「空木(うつぎ)」「つばめ魚」「あした天気に」「お玉」など趣向を凝らした物語を読んでいて、『橋ものがたり』を思い出しました。そういえば杉本さんの凛とした文章や心の機微を簡にして細やかに描くところは藤沢周平さんに通じるものがありますね。2019/10/13
ぶんぶん
21
【図書館】初めて読んだ作家さんです、凄く良い短編が12編入っているのですが、その1作ごとに濃密な話が綴られている。 「女用知恵鑑宝織」という江戸時代の実存した占い本を軸にして12ヶ月、ひと月毎に生まれ月の女の恋愛を描かれる。 濃密な割に判りやすい四季の移ろいも語られる、上手いなぁと感心させられる。 時代小説のいろはが判っているのでしょうね、お話し毎に起承転結がある。 杉本章子、凄い作家である、今まで手に取らなかったのが残念でならない。 他の作品も読んで見たいと思った、図書館で探して見よう。 2019/03/20
サンディK32
18
ネタ元の占い本が気になるところですが、この時代の女性目線による慣習的な内容でしょうから、現代では参考にならないかな… 北原亞以子さんを思わせる台詞と、文学性豊かな文章は、単に封建社会に生きる女達を描く以上のものを感じました。 直木賞作家さんの余裕もあるのかな?2015/08/20
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