出版社内容情報
石岡と里美は、英会話教室で知り合った老人とイヴの夜に食事をした。数日後、殺害された老人は、なぜか寿町のドヤで暮らしていた。
内容説明
ミステリー作家の石岡は女子大生の里美に誘われて英会話学校に通い始めた。ふたりはそこで知り合った孤独な老人・大田原と親交を深めるが、大田原はイヴの夜の晩餐会を最後に帰らぬ人となった。老人はなぜ、「神を見た!」と叫んだのか。御手洗が見抜いた真相とは?「龍臥亭事件」の犬坊里美が再登場。表題作など全3篇。
著者等紹介
島田荘司[シマダソウジ]
1948年、広島県生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年に『占星術殺人事件』でデビュー。また、「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や、台湾・皇冠文化出版有限公司が主催する中国語によるミステリー新人賞「島田荘司推理小説賞」の選考委員をつとめるなど、後進の育成にも尽力している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
89
【御手洗潔シリーズ】第13弾、短編集。本作は龍臥亭事件で知り合った、犬坊里美を中心に物語が展開する。「里美上京」で、彼女が広島から横浜の女子大へ編入してきた様子が描かれるがミステリは無い。「大根奇聞」で、里美が所属するミステリ研の顧問をする教授から、歴史的な謎を提示される。ほのぼの系の謎解きで、御手洗が電話のみで登場するのも、ファンとしては見逃せない。「最後のディナー」はミステリよりも人間ドラマ、人の思いは切なさを伴うと、そんな島田作品を通しての感覚が伝わる。「龍臥亭~」「異邦の~」を、読んでおくと良い。2021/02/25
goro@the_booby
47
「龍臥亭事件」からの続きで里美が横浜の大学へ編入してからの短編集。御手洗は不在のまま電話にて事件を鋭く喝破する。表題「最後のディナー」は人生にケリをつけるかのような哀しい老人の話ではあるものの出会えた石岡や里美にとって忘れられない横浜の一夜となったことでしょう。「大根奇聞」は鮮やかな奇跡の一遍でありました。2025/01/09
流竜会
39
島田さんの作品としては、少し味付けの違う「亜種」のような読後感でした。3篇の短編から成る構成ですが、やはり探偵役は「御手洗潔」。ただ本作では、地球の果てから電話でのみ登場という意趣を凝らし、石岡の精神状態と反比例するかのように推理は冴えます。表題作は、バックに神のご加護を感じさせる大きな愛の味付け、「里美上京」はほんのりと甘酸っぱい味がしました。中作の「大根奇譚」には、鹿児島大根の逞しささながらに、「自分のなすべき正しいことをする」力強い、そしてやさしい味を感じました。r2015/05/28
シルビー
37
石岡・里見をメインとした短編三本。謎よりも日常的な側面が大部分でした。御手洗もちょこっと登場。数ページで事件を解いていく姿は流石としか(笑)純粋な殺人事件とかではなく、歴史と絡めた謎は新鮮で良いですね。どれも読後感は良かったです。ただ異邦の騎士とか龍臥亭事件とかを読んでいないと面白さが半減する一冊だと思います。2018/07/29
いっくん
32
「里美上京」龍臥亭事件後の話。なんと◯◯◯◯女子大転入。ニヤニヤしてしまう。「大根奇聞」いいお話だなぁと思ったら、民話を元にしてるらしい。てっきり、地面が揺れる方だと思った。「最後のディナー」ちょっぴり、切ない話。石岡・里美コンビが楽しく、微笑ましい(^_^*)『異邦の騎士』『龍臥亭事件』『Pの密室』読んでからの方が楽しめます!2016/09/22