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文春文庫
うしろ姿

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  • サイズ 文庫判/ページ数 255p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167471033
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

これが最後の仕事と思い決めて、危険な犯罪に走った初老の男が辿ってきた人生(「トマト」)など、七本の短篇を収録。望まない道に引き込まれて否応なく、あるいは自ら荒波の中へ飛び込んだ結果、社会の片隅で生きざるを得なかった人間の哀しさ、切なさ、たくましさを描く。短篇の名手と謳われる著者の、最後の現代小説作品集。

著者等紹介

志水辰夫[シミズタツオ]
1936年、高知県生まれ。雑誌のライターなどを経て、81年『飢えて狼』で小説家デビュー。86年『背いて故郷』で日本推理作家協会賞、91年『行きずりの街』で日本冒険小説協会大賞、2001年『きのうの空』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gonta19

135
2008/6/14 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2018/6/2〜6/5 2年ぶりの志水作品で10年ものの積読本。著者自ら、最後と語る現代作品集。 「トマト」、「香典」、「むらさきの花」、「もう来ない」、「ひょーぅ!」、「雪景色」、「もどり道」の七篇。どの作品もシミタツ節満載の哀しく切ない物語。甲乙つけがたいが、「ひょーぅ!」が一番か。 思えば大学生の頃、「背いて故郷」から入ったシミタツワールド。現代ものが読めなくなるのは寂しいが、これからの時代ものにも期待。しかしなんとも寂しいあとがきであった2018/06/05

ミカママ

54
この作家さん、もう亡くなってるんでしょうか?ご自身の後書きで、出版不況を憂いてらっしゃるのと、この手の作品はこれが最後、とおっしゃってるのがとても印象的だったもので。最後にしないで〜と思わず呟きたくなるくらい、心に沁みる短編集でした。「雪景色」と「ひょーぅ」が特にお気に入り。雪景色は、苦労ばかりだった主人公の晩年に、少し希望の差したところがれしかった。「行きずりの街」は引きずる暗さがイマイチ好きになれなかったけど、あと数作品読んでみます。2014/05/04

巨峰

18
凛と鳴るような名篇ばかりの短篇小説集。戦前戦中に幼い日々をすごし、そして生きてきた老年の男にしか書けない小説だとおもう。ひとつひとつの短篇小説に、人生が詰まっている。しかも、永く生きてきた人生だ。2011/11/06

90ac

14
作品はしみじみとして良かったのだが、皮肉にもあとがきが一番しみじみとして心に残った。出版界の激変について書かれているが、活字離れの影響で本(小説)が売れなくなっているようだ。このようなテーマ・内容・構成の小説は古臭い感じを受け、暗いとか陰気といって嫌われるのかな。作る側は時代の流れに対応してどう対処すればよいか考える力もなくなっていると嘆く。後ろ髪を引かれる思いが伝わって切ない。どの作品「うしろ姿」で余韻を残すが、この作品を最後に現代小説から時代小説へと去っていく著者の寂しそうなうしろ姿が目に浮かぶ。2011/09/26

ホッケうるふ

9
ハードボイルドな残り香も漂うシミタツワールドの小品集。ほとんどの主人公が貧困や惨めな境遇という過去を引きずっている。だがその過去あっての現在の自分であり過去を否定し捨て去る人物はいない。戦前に生まれ戦後の辛い時期を生き延び現在を飄々と生きている同世代への作者からの応援歌と受け取れるし巻末作の最後のセリフにはその想いが感じ取れる。どの主人公も印象深いが「むらさきの花」の主人公の奥さんは心情を描写しないぶんかえってラストで際立った。夫に隠し通していたその強さを思うとむしろ彼女が主人公であったとも感じさせる。2014/07/10

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