出版社内容情報
足利義教を暗殺した赤松満祐の愛妾野分御前とその娘桜姫、二人と関係を持つ南朝の玉川宮の孫阿麻丸を主人公にした波瀾万丈の物語
内容説明
赤松満祐が足利義教を暗殺した夜、満祐の側室野分御前は、もうひとりの妾で臨月の玉琴を惨殺する。しかし呪力で胎児は蘇り、玉琴も活傀儡となって野分とその娘・桜姫の前に現れる。その頃、南朝の血をひく少年・阿麻丸は、南朝再興に執着する周囲の者たちと陰謀渦巻く日々を送っていた。怨霊・呪術・恋情が交錯する伝奇ロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mii22.
56
冒頭からドラマチックな展開で中世(室町時代)の闇に引きずり込まれた。赤松満祐の将軍足利義教暗殺実行(嘉吉の乱)の裏で側室野分は妾玉琴を惨殺する。政を行う男たちの野心と女の嫉妬、どろどろとした容赦ない血肉の争いに、謀者、野伏、傀儡、悪霊と皆川さんらしい妖しい毒を盛り込んだ歴史絵巻。全編に漂う妖気は凄まじい。下巻で野分の子桜姫と玉琴の子がどのような再会を果たすのか、また二人の童子に関わる男たちの運命の行く末にゾクゾクする。2017/04/03
佐島楓
21
歴史伝奇物がお好きなかたにはたまらない世界。史実を交えつつ、どこか雅やかな筆致で紡がれるおどろおどろしくも美しい世界。南朝の血をひく少年・阿麻丸はたった一人で戦う道を選ぶ。下巻へ。2014/05/06
冬見
14
時は南北朝統一後の室町。上巻で語られるのは嘉吉の乱、禁闕の変。登場人物の名前をギリギリ知っている&うっすらと覚えている(ほとんど覚えていない)くらいの知識で挑んだけどなんとかなった。物語の鍵となるのは異形の者たちだろう。赤松満祐にはじまり、猿楽師たちや蝦蟇の党など、異形の者たちは物語の中で不気味に蠢き、彼らの存在が作り出す伝奇フィクションの雰囲気が物語に立ち込める。作中で描かれる女たちの姿も印象深い。史実という縦糸に伝奇という横糸が絡みつく。物語はどこへ向かうのだろう。それでは下巻へ。2019/02/13
橘
13
面白かったです。昏く妖しく猥雑な感じが、中世の日本を舞台にしていても皆川さんっぽいなと思いました。野分の娘と、玉琴の子供がどう関わるのか、下巻も楽しみです。2015/09/07
さや
2
これから、登場人物たちがどう絡んでいくのか、下巻の展開が楽しみです。兵藤太がお気に入り。2013/12/31