内容説明
11月、イギリス東部の町で氷結した川から車が引き揚げられた。トランクには銃で撃たれた上、首を折られた死体が入っていた。犯人はなぜこれほど念入りな殺し方をしたのか?さらに大聖堂の屋根の上で白骨死体が見つかり、敏腕記者のドライデンは調査をはじめるが―。堅牢きわまりない論理、緻密に張られた伏線。CWA賞受賞作家が描きあげた、現代英国本格ミステリの傑作。
著者等紹介
玉木亨[タマキトオル]
1962年東京都生まれ。慶應大学経済学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
40
一言で言うと長かった。なかなか殺人事件の捜査に移らず、過去を細かく語っていくので読み終わるまで時間がかかった。残り100頁位になったやっと色々な細かい事が繋がり始めて最後には『なるほどね』と納得。ハンフは良い味出していて好きだ。ほとんど喋らないし車から降りてこないが今後のシリーズでも個人的に注目してしまいそう。ローラの回復にも期待したい。2018/02/27
紅はこべ
38
主人公のドライデンは地方新聞記者なので、殺人事件や大洪水のような一面トップ記事のネタも、埋め草にしかならないような小さな事件や行事も同時進行で取材する、いわば新聞記者版モジュラー型ミステリ。実はその小さな事件が大事件の巧妙な伏線となっているのだが。こういう小説を読むと、しみじみミステリを堪能したなという満足感に浸れる。積ん読の『ナイン・テイラーズ』を読むのが益々楽しみに。2010/11/13
うまる
34
阿津川さんの『蒼海館の殺人』作中に出てきた作品。水が迫る中犯人を待つ冒頭部分は、これのオマージュだったんですね。土地柄や過去の話など諸々の背景部分の描写が多い為、変わった状態の死体が出てくる割に事件の展開はスロースタート。なので話が繋がり出すまでの前半は苦戦しました。終盤の収束は良くできていたけど、誰得な結末だし、犯人と対峙する部分が結構雑。下手したらみんな死んでるよ・・・。タイトルのセンスは素晴らしいと思いました。主人公周りの背景はわかったので、次作からはもうちょっと読み易くなるかなぁと期待。2021/04/15
シキモリ
22
<新聞記者ドライデン>シリーズ第一作目。著者自身もジャーナリスト、尚且つ今作が作家デビュー作とあってか、登場人物のバックグラウンドや作中舞台の気候風土に加え、記者としてのデイリーワークの描写も緻密で、諸々が過剰過ぎる作風ではあるが、作品そのものは手堅い作りのミステリー。作中に散りばめたサブエピソードもきっちり本筋に取り込む構成も技巧的。叙述が行き届き過ぎてテンポ感は悪いが、じっくり腰を据えて読みたいシリーズ。職業柄もあるのか、多面性があり過ぎるドライデンの人となりが今ひとつ好きになれないのが難点だけれど。2023/01/29
Ayah Book
15
残念ながらあんまり合わなかった。ミステリよりも主人公ドライデンの内省的な描写が重視されていて、この主人公が申し訳ないが好きになれなかった。妻を救えなかったのはあの状況じゃ仕方ないと思うのだが、それなのに言い訳ばっかりしてるのがいまいち。。。で他人には厳しいし。。。ミステリ部分の展開が遅くて、犯人は確かに当てられなかったけど、すごく印象の薄い人物だったから、意外というよりは「あっそ……」という感じだった。2021/04/01