文春文庫<br> いつか汽笛を鳴らして

文春文庫
いつか汽笛を鳴らして

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  • サイズ 文庫判/ページ数 253p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167404017
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

肉体的劣等感を正面に据えて真向から凝視、独特の感性とスタイルで第六十七回芥川賞を受賞した表題作をはじめ著者の原点というべき意欲作四篇を集成した作品集

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

184
第67回(1972年)芥川賞。 社会における弱者を正面から 描いた作品である。 河上くんと 朝鮮の人々の交流は 暗い中にも、 心和む雰囲気だったのだが …仁子への暗い想いと 劣等感が ひどく心に残る作品だった。 2017/09/16

kaizen@名古屋de朝活読書会

119
【芥川賞】障碍があり、か行がは行のように発音する河上くん。「はわはみ」と揶揄される。くじゃくを殺したことを同級生になすりつける。話の展開についていけない。その後もわからないまま話が終わる。全く理解できないまま、選者の評価をみる。同時受賞の宮原昭夫の「誰かが触った」が直木賞のようだとの言葉の裏返しなのか。理解不能。2014/02/17

ヴェネツィア

113
1972年上半期芥川賞受賞作。作品が書かれた1972年は高度経済成長期の最後の時期にあたる。それにしてはここで描かれているのは終始一貫して暗く、およそ経済成長からは見放された世界だ。弱者(主人公は身体的なコンプレックスを持っている)が、弱者同志(在日朝鮮人の人たち、あるいは劣悪な環境にいる工場労働者たち)で苦しめ合わなければならない展開は、とうとう最後まで陰鬱なままで幕を閉じる。表題には希望が希求されているが、それは永遠にやってきそうもない。数ある芥川賞作品の中でも暗さでは1,2を争うのではないだろうか。2014/01/24

大粒まろん

24
ぎこちない筆致と歪んだ思考を抱えたまま進む文章は、嘘つきの主人公河上の身体にコンプレックスを抱えてそれを在日朝鮮人と付き合う事である種の優越感を持とうとしていたが、弄ばれるように嘲を受けてしまう、この暗澹たる負の連なりの物語に合っていました。無知無明。差別と侮蔑、迫害と弾圧の混沌とした人の闇を描く作品。人を呪っても人を嘲っても穴(墓穴)は2つ。2023/09/03

たぬ

17
☆3.5 こういういわゆる「社会的弱者」に接するときってどうすればいいんだろう。私自身は何かコトが起きたら怖いから自分からは近づきたくない。無関係でいたい。そう思うのはすごく失礼だよなとは思ってるけど…。工具で殴りかかってくる大人がいるわ、障害児の施設に入る女の子には生理を止める手術が必須だわ、にわかには信じられない状況があちこちに出てきて戸惑う。芥川賞受賞作ってことで手にしてみた一冊。2023/12/13

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