出版社内容情報
早春の青山墓地で幼女の惨殺死体が発見された。深夜の独房では死刑囚が異様な告白を始めた。事件は四十年前の東京にさかのぼる。昨年冬、急逝した著者の傑作長篇
内容説明
耽美派ミステリー、現代に甦えるドラキュラ伝説。この著者ならではの異色推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイト
3
面白かったです。殺人容疑で収監された男の「回想」と、合間に挟まれる警察の「捜査」とで物語が進められていくのですが、事件らしい事件も起こらないので(ネタは仕込まれてはいるのですが)、現代の刺激的な作品になれた読者には退屈に映るかも。しかし「回想」は灰色の時代の公使館での出来事を色あざやかに見せてくれますし、いちおうの解決を見たあとでのラスト数行の「どんでん返し」には背すじが凍る想いがしました。日本では難しい題材で合理化に傾きつつもあった時代に、よくこれだけの作品をかいてくれたなあと、作者に感謝したいですね。2016/06/05
飛鳥栄司@がんサバイバー
3
小泉流吸血鬼話し。一人の男の回想記と幼女殺人事件の捜査状況が交互に書かれており、回想記は幼女殺人の犯人なのだろうと容易に想像はつく。犯人の動機と連動はしているものの、ミステリ的な要素は少なく、全体的にダラダラとメリハリのない感覚。吸血鬼部分も最終章での追求だけで、事件との関連性が薄い。推理小説として読むよりも、幻想小説として読んだ方がしっくりくるのかもしれない。2013/10/04
ひでまろ
1
途中で退屈に思う所もあるが終章で報われる。取調室の一件と「断頭台じゃないな」の一言が最高。2021/12/09
saifu
1
傑作。どこか幻想的で。いやあ本当に好みのど真ん中で大変面白うございました。2012/07/06
アオノ
0
全体的に平坦なので退屈でしたが、マジックミラーのくだりは好きです。超常現象を合理的に否定したものの、どうしても説明のつかない不合理が余韻を残す。怪談とミステリーの融合の醍醐味ですね。こういうのは良いよ。とはいえ、どうにも平坦なので、名作とは言い難く。恐らく再発はないことでしょう。私は持ってますけどね〜。ふふ〜ん。←鼻に付くコレクター2015/06/28