内容説明
アール・ヌーヴォーの巨匠、没後120年。フランス本国の原史資料に丁寧にあたり、ガレの生い立ちや人となり、創作の原点などを紹介するとともに、先行研究の中に多く残る誤解や曲解をも解く、画期的な一冊。
目次
幼少年期のガレ
ガレの工房―その「芸術工場」の歴史について
ガレの作品制作について
ガレの陶器の制作について
ボウズ宛書簡
ガレと1878年パリ万博
ガレ所蔵の日本美術
ガレとフォン・シーボルト
ガレと中国のガラス
ガレのエグゾティスム―ペルシャ美術からの影響
ガレとロジェ・マルクス
ガレとモンテスキウ伯爵
ガレとプルースト―見出されたガレ
ガレとアンリ・ヴァニエ
ガレとデンマーク装飾美術館
ナンシー派 L’Ecole de Nancy
ガレとミュルーズの美術館
Once upon a time in Carnac―エミール・ガレ「ルファンのタコ」
ガレの値段―芸術の普及と産業への適応
更新すべき幾つかの旧説
資料
著者等紹介
山根郁信[ヤマネイクノブ]
1954年島根県津和野町生まれ。大阪外国語大学(現大阪大学)外国語学部英語学科卒業。ナンシー第2大学(現ロレーヌ大学)博士課程にて美術史を研究。貿易商社勤務を経て、1985年より「アンティーク・エルテ1920」代表。ヨーロッパ美術品鑑定人組合公認「アール・ヌーヴォー/アール・デコ」専門の鑑定人。展覧会図録、特集書籍の編集・執筆など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chuji
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久喜市立中央図書館の本。2024年1月初版。この書籍は、著者が1994年以来主にエミール・ガレの展覧会図録や逐次刊行誌などに寄稿した論考・史資料集を加筆修正したもの。集大成本。没後120年記念出版。2024/03/14
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「ガレと中国のガラス」の頁はとても興味深い内容でした。鈴木潔さんという元学芸員の方が、ガレの黒いガラスは高島北海の水墨画の影響で生まれたと主張していたようですが、これは根拠のない単なる想像であったことが本書で指摘されています。抑々、この主張は「ガレと高島の間で交わされた会話内容を想定して組み立てた推論」であると元学芸員の方は書いていたようです。実際にはガレの黒いガラスは中国の鼻煙壺に影響されたものであることが多くの資料をもとに検証されています。ガレに興味のある方には必読書です。2024/06/08