内容説明
大雪山国立公園の然別湖で失踪した恋人への未練を残して、湖畔で49歳の現在まで独身のまま旅館で働く吉岡のもとに、今年も亜希子が訪ねてきた。わが娘のように育てあげた恋人の遺児である。だが、彼女の父親は吉岡ではなかった。深く静かな愛執の年月を描く表題作ほか、大人の愛を奏でる八つの物語を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チェス
2
やはり独特。この作風もだいぶ慣れた。 図書館本。2019/03/10
あ げ こ
2
傷付く者の存在が浮かんでも、生まれた愛情より目を背ける事が出来ぬ男女の姿。胸に抱えた罪悪感、自身が疎んじた者に対するその罪悪感は、恋に走る彼等の姿をより鮮やかに、より苦く美しいものに見せている。道徳に反する形の愛情を描いた作品が多い中、「桐の花」だけは少し毛色の違う作品であったように思う。甘やかに匂い立つような、ある女性の散り際。彼女が最期に残した香り、女性と言う性を持つ彼女が最期に放った、甘く豊潤な香りがとても印象的。何とも言えぬ、滋味豊かな読後感があり、優しく、好ましい作品として胸に残った。2013/10/24
Dai
1
ふーん・・・という感想しか出ん。2016/04/14
スリカータ
1
人生模様。男女の機微。秘めたもの。短編集です。なかなか良かった。2014/01/03
まさふ
1
官能小説にはまっている会社の先輩のおススメ本。余韻の残る大人の恋愛もの。お互いに惹かれ合っていても、結局自分が踏み出せなかったからこそ安心安全な今があって。でも自分にもせつなくて密やかな恋があったことをなつかしんでしまう。2010/11/12