出版社内容情報
名遊撃手が名二塁手に抱いた恋情がもとで、全米をゆるがす大スキャンダル。が、ペンは偏見より強く…。これぞ珍品、爆笑諷刺傑作
内容説明
ランディ・ドレフュスは長打力、打率ともに抜群、守備もまた華麗という球界を代表する名遊撃手だ。ある日シャワー・ルームで、鉄壁のコンビを組む名二塁手D・Jの褐色の裸体を見たとたん、体の芯から湧き起こる名状しがたい感情に戦いてしまった―全米をゆるがす大スキャンダルと、一徹老新聞記者ゾラの活躍の始まりだった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hirouch
3
文京区の古本祭りで購入しました。 旅行中に読みましたが、夢中になって読んだというよりは、移動中の暇つぶしに仕方なく読んで読了という感じ。 映画になりそうな話しだなと思ったら案の定。 一昔前のアメリカの雰囲気は好きですが、そういう感動よりも古臭さを感じさせる小説でした。2024/03/02
熊猫
3
マッチョなスポーツでゲイでいることの難しさと厳しさ。 選手の夢である殿堂入りをただの銅版と言い切れるほどの思い。 野球好きなだけにいろいろ考えさせられた。2015/01/21
lucinda
3
たまに読み返したくなる本の一つ。ランディがDJにどんどん惹かれていく様子、そしてDJもランディに惹かれていく様子が、いかにも“恋に夢中になっていく二人”という感じで、好きなんだと思う。しかし読み返すたび、フュアレス医師のカウンセリングは、核心を突いてはいるけどアブストラクトだよなぁ…と思う。アブストラクトなことなど無縁だったっぽいランディには、さぞかし分かりづらかったに違いない…。ゾラの告発の部分、読むたびにゾクゾクするが、やっぱり野球に求められる暗黙の“品行方正さ”に毎度首を傾げてしまうのだった。2014/04/25
雪
3
殿堂入りも見える程の人気実力を兼ね備えた名選手が同性愛者であるために球界を追放されるというのは日本人からするとちょっと理解しがたい(日本でも十分風当たりは厳しいだろうけど)けど、これがアメリカの現実なのか…。90年代が舞台だけど、今でもそう変わらないんだろうなぁ。色々考えさせられるけど、ラブストーリーとしても野球小説としても面白い。『二遊間の恋』という邦題も絶妙だと思う。2011/07/21
ゆうたろう
3
数度目の再読。一気に読める面白さは変わらないが、今回は細部が色々と見えた。「これは、ランディとDJだけの問題じゃない。おれたち全員の問題だ。オーナーたちがこんなことをするのを許したら、どんなことでも出来るようになる」チームメイトがこう言う瞬間が、恐らくこの小説のクライマックスなのだ。恋愛小説でありスポーツ小説であると同時に社会小説でもあるこの物語の真骨頂。ホモの規制を見逃したらそのうちゴルフまで規制されるぞ、というヘテロの彼の台詞は、近頃の国内の表現規制問題にも共通する印象があって考えさせられた。2010/08/17