内容説明
誰もいない自宅で急死した妻の部屋で残された夫は、妻の布団に寝転がり追憶に浸る―。「断作戦」「フーコン戦記」など、風化にまかされる戦争の記憶を終生つむぎ、亡妻、旧友を偲びつつ、年輪を刻んだ作家の、老いゆく日々をしるす名篇の数々。ほろ苦く澄明な、心に沁み入る稀有な文章は、ただ生きてあることへの勇気を与える。
著者等紹介
古山高麗雄[フルヤマコマオ]
1920年、旧朝鮮新義州生まれ。旧制三高中退後、応召。ビルマ、雲南、サイゴンなど万年一等兵として大東亜をまさに転々。1970年「プレオー8の夜明け」で第63回芥川賞受賞。1973年「小さな市街図」で第23回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1994年「セミの追憶」で第21回川端康成文学賞受賞。2000年「断作戦」「龍陵会戦」「フーコン戦記」の三部作により第48回菊池寛賞を受賞する。2002年3月逝去。享年81(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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