出版社内容情報
竹久夢二の描く「黒船屋」の女に似た魔性の女─画家、美術評論家、画商が彼女をめぐって次々に殺人事件に巻込まれる。大正浪漫のかおり漂う探偵小説風異色推理
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tanaka9999
3
1985年文藝春秋発行の文庫本。文春文庫。解説では自律性を持たぬ、寄生木(やどりぎ)のような女を書いてみたいとして書いた、としている。しかし、ミステリーとしては周りの人物が際立て、肝心の女性はあまり目立たない。最後はこの女性がいないと成り立たないものの、途中まではこの人物がいなくても成り立つような。駄作、失敗作として切り捨てるにはためらいはあるものの、作者に向かなかった方向性なのかもしれない。追記:大正時代のシリーズにはこのタイプの人物が登場してきちんとはまっているので、戦後にするのは無理だったのかも。2020/09/21
RISE
3
☆☆☆ うまいなぁ。2012/05/26
ホレイシア
3
何が描きたかったかはよーくわかるが、成功しているとは言えないと思う。
ヨコケイ
2
〈黒船屋〉は竹久夢二の絵から。絵描きがさる邸の押込み強盗に居合わせる。画廊の主人が殺され内縁の後妻は暴行を受け返討にあった強盗も死んだ凄惨な現場だが絵描きは〈夢二式美人〉そのままのような後妻に強く惹かれる。さらに事件が。彼女を取り巻く男たち(身許不明の強盗…美術評論家…歳の違わぬ義理の息子…夭折した天才画家の前夫…)が入り乱れるなか過去の因縁が立ち上がる。お得意の装飾過多な文章が大時代的な愛憎劇と芸論にマッチしてる気が。ファム・ファタルと芸術への渇望が予想の範囲内のカタストロフィに合流。それなりに楽しい。2023/11/03
sige***
1
ヒロインの描写が川端康成のよう。作品に漂う退廃的な雰囲気が艶やか。2007/10/05