内容説明
サブカルチャーが主流となった高度消費社会の諸相を思想界の巨人と俊英がつぶさに検討、細部からゆるやかに全体に至る思想的視座を見据えつつ闘われた三年半の全対話を収録。大ブレイクしたアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』と文芸批評家・江藤淳の自殺を二大テーマに、白熱した論議が繰り広げられる。
目次
第1章 エヴァンゲリオン・アンバウンド―その記号性と身体・倫理(心的葛藤のない“戦争”;第3新東京市の終わらない夏 ほか)
第2章 精神的エイズの世紀―「虚構/現実」を突き抜けるもの(消費社会での“知識”はサブカルチャーとして発現する;永山則夫の閉塞感と陸奥A子のフィクション ほか)
第3章 天皇制の現在と江藤淳の死―「苛立ち」の根源にあるもの(サブカルチャーに擦り寄る純文学;死んでから自殺した森鴎外 ほか)
第4章 オウムと格闘技と糖尿―立ち停まることの意味と場所をめぐって(立っている場所は現象の内か外か;信仰と宗教を代行するもの ほか)
糖尿病の思想―「あとがき」にかえて(大塚英志)
著者等紹介
吉本隆明[ヨシモトタカアキ]
1924年、東京生まれ。東京工業大学卒。52年、詩集『固有時との対話』で注目され、続いて『芸術的抵抗と挫折』『抒情の論理』でラディカルな文芸批評を開始する。60年安保では全学連主流派とともに国会に突入、逮捕された。以降『言語にとって美とはなにか』『共同幻想論』などによって、戦後思想界の巨人と目されている
大塚英志[オオツカエイジ]
1958年、東京生まれ。筑波大学卒。編集者としては批評誌『新現実』を主宰、まんが原作者としてはベストセラー『多重人格探偵サイコ』など。自作のノベライズ作品としては『木島日記』、また評論家としては『「彼女たち」の連合赤軍』などサブカルチャー戦後史を主題とした多数の論考がある
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- 和書
- 暗闇一心斎 文春文庫