出版社内容情報
日本の近代化と文化にまつわる迷信・逆説・倒錯を抉り出す、痛烈無比の批判提言の書。福田思想のエッセンス、我々日本人への遺言
内容説明
ぼくはただ頑強に立ちどまることしか知らない―。かまびすしい流行言論に与することなく、事物の本質にじかに迫る透徹した知性で、戦後日本に孤独な問いかけをつづけてきた福田恒存。近代化、新憲法、民主主義、平和運動、進歩主義など、戦後文化の根幹にかかわる諸問題への論考を、ここに精選収録した。
目次
日本近代化にまつはる諸問題(日本および日本人;日本人の思想的態度;近代の宿命)
日本現代の諸問題(平和論に対する疑問;進歩主義の自己欺瞞;平和の理念;自由と平和;当用憲法論;偽善と感傷の国;文化とはなにか;紀元節について)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリータ
6
昨日かっぱ横丁の100円均一で手にとったが、一章だけ読んでやめる。文章が格調高いわけでも論理が透徹しているわけでも知識として勉強になるわけでもたまげるようなことが書いてあるわけでもないので。2016/07/12
tjZero
3
「平和」、「民主主義」、「憲法」、「文化」…といった言葉の本質を、時流やムード、流行などに流されずにキッチリと捉えた、著者による評論集。”私たちがもっとも注意しなければならないのが、この「足もと」であります。足もとが崩れたのでは、どんなにいいものを背負いこんでも効果がないばかりでなく、それでは自分は自分の人生を生きているということにならないのです”(P.89)。2020/10/26
ネコ虎
3
ずっと積読本だったが、ようやく読了。難解のようだが、時代のなせるわざか。安保法制、憲法論議のかまびすしい今読むと、論点は同じで、よく理解できた。結局当時(5~60年前)も今も、左翼は何ら進歩していないことがわかる。それは日本にとって不幸な年月だったといえる。 「自由と平和」という論説から引用。SEALDs等に読んでほしい言葉。 「寛容の美徳は不寛容に対して何をなしうるか。それは際限もなく譲歩することだけだ。」つまり、中国という不寛容に、寛容の美徳は悲劇をもたらすということ。左翼は本気で言ってないけどね。2015/11/26
まじょるか
2
海外渡航経験のある日本人が珍しかった時代の本。その経験より文化比較をしている。気軽に海外に行ける現代では常識化した事例も多く、「賞味期限切れ」を感じてしまう。▼日本人の道徳観には、「汚れてない」精神があり、結婚観、自己主張の仕方、対人関係に通底しているという持論を展開。2014/03/06
nz
2
半世紀ほど前に書かれたにもかかわらず、その内容には古さを感じないところが多々あった。歴史的かなづかいであっても十分楽しめるということを教えてくれた貴重な本である。2010/04/06