出版社内容情報
様々な史観がせめぎあい、ねじれあう昭和前史。不幸な父祖の歴史をどうしたら正確に辿ることができるのか?渾身の力作千二百枚
内容説明
敗戦の虚脱から、深い吟味もなく過去を否定しようとつとめてきた日本の戦後。しかし大東亜戦争は、本当に一部指導者の狂気の産物と片づけられるのだろうか。既成の史観から断罪するのではなく、変革と戦争を必死で生き抜く日本人の喜び、悲しみ、苦悶に丹念に寄り添いながら、再検証する昭和前史。毎日出版文化賞受賞の力作。
目次
昭和改元
革命支那と昭和日本
感覚的純粋人と思想的純粋人
革命と国家
橘孝三郎・中野藤作・中野重治
モダニズム
言霊とイロニイ
雪ふる朝―北一輝と青年将校(1)
あを雲の涯―北一輝と青年将校(2)
「支那事変」と文学〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風に吹かれて
20
1992(平成4)年刊。1988(昭和63)年より「文學界」掲載。 「昭和を生きた日本人の心の歴史」。終戦まで。 芥川、多喜二をはじめとする小説家や保田輿重郎、岡倉天心、西田幾太郎などの数々の文学や思想を俯瞰することと併せ、あの戦争の奥にある精神を探る。著者の硬質だが長年の思考に裏打ちされた文章にその頃の日本への「何とも言えない悲しみのようなもの」(高見順)を感じさせられる。 →2022/03/17
k.m.joe
3
戦後の占領期までの日本人の「精神」について詳述。西欧文化との関わり方にも日本らしさが必要なんだとつくづく思う。ここで「日本人らしさ」が再確認、というより再発見できました。2009/09/05
肉欲棒太郎
1
700ページ余りのゴツい一冊で、読み応えあり。三島由紀夫は『文化防衛論』の中で「治安維持法は国体と私有財産制を同列に扱ったので不敬」と言ったが、本書を読むとそれが誤りであったことが分かる。三井物産出身の強硬的ナショナリスト森恪の話とか、二・二六事件の青年将校・安藤輝三のこととか、書き出していくとキリがないが、色々と勉強になった。2019/06/15
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- 和書
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