出版社内容情報
若年ながら重厚、温和な兄・枡屋庄右衛門。男気で人を集める弟・清右衛門。多くの困難を伴う玉川上水開鑿を成功させた兄弟の歴史巨編
内容説明
若年ながら包容力のある穏和な兄・庄右衛門。男気で人を集めるいなせな弟・清右衛門。二人を玉川上水開鑿に駆り立てたものは何か。立ちはだかる自然の猛威に二度も工事中断を強いられながら、幕府の仕掛けた思わぬワナ、信頼する普請奉行の切腹など多くの困難を乗り越え、江戸に命の水をひいた兄弟の感動巨編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポメ子
5
600ページの長編で、しかも土木歴史小説なので、専門用語など、難しくてなかなか進まないかなと思いましたが、とても読みやすく、どんどん読めました。玉川上水を完成させるまでのプロセスが、人間模様と、工事の大変さも絡まれて、また多摩地区の当時の様子も知ることが出来、とても勉強になりました。玉川上水取水口の羽村も歩いてみたいと思いました。2018/03/15
竹香庵
2
久しぶりの杉本節。やはりいい。どっしりと読ませる。『散華』が最も好みだがこれもいい。西から東へ掘り進める苦労の物語かと想像していたが、ことはそう単純ではなく、西の取水口での顛末に紙面を費やしていた。それにしても、この粘り付くような言い回し・文章表現・心理描写はさすが杉本苑子と敬服させられた。素晴らしい。話しの終息も見事。国分寺や小金井での、現五日市街道沿いの桜並木辺りでの一悶着か何かを期待して、更に倍ほどの長さの小説なら、もっと長く杉本節に浸っておれたであろうのに。…にしてもこんな名著が絶版とは惜しい。2016/04/24
こかゆ
1
羽村の銅像を見る目が変わります。2011/01/23