出版社内容情報
時代に刻まれた名作はもちろんのこと、ユーモア、時代物、怪奇幻想などあらゆる分野の娯楽小説の名品を一堂に会した大アンソロジー
内容説明
織田作之助の哀切深き佳品「蛍」、林芙美子が流麗な筆致で描く「晩菊」、内田百のユーモア、木々高太郎のミステリー、そして銭形平次、眠狂四郎といった時代小説のスーパーヒーローたちの活躍譚。山本周五郎「薮の蔭」から向田邦子の「男眉」まで下巻収録の24篇もいずれ劣らぬ傑作揃い。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
106
こちらには24編の作品が収められています。上巻よりも読みやすいものが多く感じました。特に石坂洋二郎の「石中先生行状記」というのは、バルザックの「風流滑稽譚」を模したものだというのを初めて知りました。尾崎士郎の「ホーデン侍従」というのは奇譚ですね。五味康祐の「一刀斎は背番号6」が野球好きの私にとってはたまりませんでした。かなり楽しめました。2016/05/22
しんすけ
18
下巻になってからは馴染みある作家が増えてきた。 昭和55年前後、出張の車中で週刊誌を読むことが暫しあったからだろう。なかでも源氏鶏太、藤原審爾、柴田錬三郎、海音寺潮五郎が懐かしい。 印象に残ったのは下記3点だった。 ●山本周五郎「藪の蔭」 ●石坂 洋次郎「同窓会の巻」石中先生行状記から ●藤原審爾「罪な女」 何れも人間という生の儚さを醸しており、独り身の今が身につまされて切なかった。2021/01/17
モリータ
7
◆昭和63年7月のオール讀物増刊号を文庫化したもの。◆『銭形平次捕物帳』『石中先生行状記』『阿房列車』『眠狂四郎無頼控』『しぐれ茶屋おりく』など、連作の一篇がつまみ食いできてよい。◆林芙美子「晩菊」と海音寺潮五郎「足利義満」は飛ばす。◆檀一雄の「汀の声」は『リツ子・その死』の一部なので数度読んでいるはずだが、ラストのチチとタローのやり取りは良かった。2016/07/15