内容説明
お市の方の兄である織田信長と、五年の月日を共に過ごし、四人の子まで授かった夫の浅井長政が、互いに裏切りあい、憎悪をあらわに激突した。お市は信長の天下への野望に共感しながらも、この兄の滅亡を願わずにはおられない。生き抜くためには親子兄弟でさえ争わねばならなかった戦国の世を、懸命に生きようとした女性の悲劇。
著者等紹介
永井路子[ナガイミチコ]
大正14(1925)年、東京に生れる。東京女子大学国語専攻部卒業。小学館勤務を経て文筆業に入る。昭和40年、「炎環」で第52回直木賞受賞。57年、「氷輪」で女流文学賞受賞。59年、第32回菊池寛賞受賞。63年、「雲と風と」で吉川英治文学賞受賞
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感想・レビュー
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鈴
16
下巻はお市の最期がわかっているだけに辛かった。お市は織田のために最後まで戦ったんだな。茶々が後に秀吉の子供を生むことに、お市はどんな気持ちで天国から見ていたのだろうと思った。2011/06/30
リリー
13
戦国時代の女性の息をもつけない状況は、市の目を通して少しだけ理解できたと思う。そして兄信長ににて強い人だった。2016/07/20
紅花
6
戦国時代、実家の外交官として、婚家の妻として、子供たちの母親として、厳しい現実に思慮を重ね、必死に生きていくお市の方の誇り高き姿にとても好感が持てた。女性の生き方を考えさせられる一冊だった。2022/08/20
ミツヒデ
5
壮絶な、そして三姉妹も含めて数奇な生涯ですね。しかし、戦国の女性達は極めて主体的に生きていたと感じました。兄信長も我慢強く寛容な統治者だったという解釈も発見でした。光秀の謀反が残念です。 2015/03/27
美代子
4
終わりにつれて、お市さまが透き通るから切ない!そして鬼柴田勝家が本当にかっこいい。お市さまが死を選んだのは勝家に愛があるからだと思っていましたがこの織田の戦いに巻き込んだ贖罪、というのが戦国らしいくて悲しい。娘たちのその後は他の作品で!2014/08/13