出版社内容情報
江戸期、野心に溢れながら挫折し、逃亡の身となった一儒者の青春から晩年を、その時どきにそばにいた女たちの目で描く連作時代小説
内容説明
才覚に恵まれ、自信にも満ち溢れ、天下の大儒学者を夢見た男。しかし江戸でおのれの実力は通用せず挫折し、ついには逃亡の身となる。ある時は侍に姿を変え、ある時は手習の師匠として寺に隠れ棲み、本名を明かすこともなかった男の青春から晩年を、その時どきに傍にいた女性たちの目を通して描く連作時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとみん
3
自分がしていることを「死ぬまでの暇つぶし」と言った男は人生の悲哀を超えたところにいたような気がする。若い頃の自負が折られて、数十年の月日の中で現実と折り合いをつけた結果なのかもしれないけれど、悪くない年の取り方だなと思えた。六人の女性が語る一人の男の人生の断片という構成が味わい深い。2013/01/15
adri8na
2
どんどん、落ちぶれる姿が明るみにててくる、男の話。だけども・・・そんな男を捨てる自分がいれば、そんな男を拾う他人もいると言う事か??周り巡った人の縁を感じる。文章としては淡々としてしていて読みやすい。余計な物はない。視線が辿る部分にだけ光があたり、読み終わった部分は忽ちに、するすると陰に沈んでいく様だ。主人公の男がするりするりと、女の間を通り抜けて行く雰囲気に少し似ている。女らしい男だなぁ、とにかく。2014/10/29
Mana
1
一人の男とその男に関わった六人の女のたちの話。六つの短編がそれぞれの女視点の独立した話になってる。さらっと読むと主人公の男はしっかりした人物っぽいけど読み進めていくうちにだんだんろくでなしになっていく。一話目とそのあとがまるで別人。2012/03/20
ランバート
0
ひまつぶしみたいなもの、とは私もよく思う。このごろ。でも、少しは誰かの役に立ちたいともまだ思ってる。凡人だから。この男の人にはいつも女のひとが寄り添ってくる。2015/11/15
あき
0
主人公みたいな男は、嫌だ。けど、女の人主体で書かれているから、スイスイ読めた。それに、大正の作品なのに、平成の今も、根本的に変わらないから、読みやすいんだろうな。2009/04/15
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