出版社内容情報
大国にはさまれて圧迫される中国地方の小国主は、明るい妻に励まされて次第に本領を発揮し、戦国乱世を生きぬいていく。歴史長篇
内容説明
十六世紀初め、土豪たちがひしめく中国山地の小領主、毛利元就のもとに、「鬼」といわれる吉川国経の娘が輿入れした。権謀術数うずまく乱世にあって、ふたりは否応なく戦国の夫婦として生きていくことになる。互いに支え合い、やがて元就は頭角をあらわし名将への道を歩み始め、ふたりのつむぐ明るい未来は近づきつつあった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
36
元就はまだ山間の小領主であり、大勢力に囲まれながら苦労しながら家を保持しています。誰も信用できない時代でありながら夫婦で苦難を乗り切っています。また後の三本の矢につながる話もあり、下巻が楽しみです。2023/01/01
ソーダポップ
23
猿掛城主・毛利元就の所に、〈鬼〉吉川国常の娘が輿入れすること場面から物語は始まる。この頃の元就は、大内家と尼子家の二大勢力に挟まれどちらにつこうかと悩んでいる時である。戦国の花嫁は、複雑な性格の二重スパイである。婚家と親善の窓口でありながら情報収集に利用する。こういう二重スパイ的なところは元就に嫁いだ「おかた」も一緒である。そのおかただが、生来の楽天家として描かれていて、対する夫の元就は用心深く心配性である。対照的な二人だが、これがよい組み合わせとして描かれていた。エンターテイメント性の強い物語でした。2023/10/08
MAEDA Toshiyuki まちかど読書会
22
購入本。元就とおかたが懸命に戦国の世を生き抜いて、人生を切り拓いて、毛利家の礎を築いた。その夫婦の生き様に心を打たれる。最終章はしみじみと山霧が心に染み入るようなラストシーンに感動した。二人の絆が染みる。2015/05/27
マッサー
17
毛利元就と妻の2人の関係を中心に話が進んで行く。夫婦の対象的な性格が、二人のやりとりを面白くしている。上巻では、まだ戦国大名にはなっていないが、下巻でどのように勢力を広げて行くか楽しみ。2021/06/29
山口
16
1997年放送の大河ドラマ「毛利元就」の原作。用心深くて暗い未来を予想しがちな元就と、少しきめが粗く、そそっかしいが、それなりに肚を据えて、ものに動じない元就の妻おかた(お美伊)の物語。毛利家は大藩のイメージですが、元就が若い頃は尼子家や大内家に挟まれた3000貫の所領で、元就は本家ではなく持高300貫、零細企業並みの所領だったことに驚いた。上巻のラスト辺りから、のしあがっていく感じです。副題は「毛利元就の妻」ってなっていますが、どちらかと言うと元就の話が主かな。2019/06/15