出版社内容情報
死ぬべき運命を救われた百済人の鋭飛は大海人皇子のスパイとなり敵の殺戮をつづけるが……。時代潮流に抗する勇者の葛藤を描く名篇
内容説明
西暦672年。大海人皇子と大友皇子が皇位を争い、骨肉の戦いを繰り広げた壬申の乱。大海人皇子に一命を救われた亡命百済人の孤児・鋭飛は敵対する近江朝の間者を捕え、殺戮。勇名をはせていくが…。歴史のうねりに翻弄されつつ、力の限り、信じる道を貫いた武人の、女人の、無告の民の、清冽にして哀切なドラマ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
RASCAL
13
黒岩重吾さんの歴史小説25冊目は、壬申の乱にまつわる短編集。「天の川の太陽」を読んだ勢いで一気読みしました。黒岩さんの創作部分が多いんだと思うけど、まあ、まずまず面白かったかな。2013/07/22
まえぞう
12
好きな作家の著作を整理していたら、亡くなった黒岩重吾さんの古代史ものに読んでいないのがあることを発見。早速、Amazonで取り寄せました。これは短編集ですが、久しぶりに長編を何冊か読み返してみたくなりました。やっぱり、天の川の太陽あたりでしょうかね、それとも弓削道鏡か。2021/07/18
BIN
10
壬申の乱のモブキャラの方を主人公にした短編集7編。うち1編は壬申の乱ではなく、物部守屋の猛将の話なので少し違う。短編集だからもっと大友皇子側が欲しかったけど、大友皇子とその妻でかつ大海人皇子の娘である十市皇后の2編があったからいいでしょう。十市皇后の最後に大友皇子と初めて想いが通じ合った話である別離が一番良かった。守屋の猛将捕鳥部万の白犬、史実として残っていたびっくり。2018/12/28
himawa
7
黒岩作品再読。ほんといい。「霧の慟哭」「別離」「補鳥部万の死」と物部・蘇我との関係が緊迫した状況。赤檮と万の戦い、マシロとの最後...。この時代も現代もみんな頑張っているんだと思えた。2013/12/12
yuzi
3
古代史小説の代名詞・黒岩重吾による壬申の乱にまつわる短篇集。うち6篇の登場人物は大友皇子方、大海人皇子方の貴賤問わず様々。残り1篇は蘇我・物部の戦いに登場する武将の話だったが、どれも秀逸。個人的には解説者の郷原さんもおっしゃっているが大友と十市を描いた「別離」がよかった。これぞ古代ロマン。電車で泣きました。物部方の武将・万とその忠実な友だった白犬の絆を描いた「捕鳥部万の死」も泣いた。おすすめ。この作家さん初めてでしたが、他の作品にも手を出していこうと思いました。2018/06/30