内容説明
源太郎、花世らを連れて外国船で賑う横浜を訪れた東吾。美人局に身包みはがされて、首をくくろうとした英国人船員のために、一肌脱ぐことになるが…。お馴染みの江戸情緒に、横浜の異国情緒が花を添えた表題作ほか、子供の頃別れた母と娘の切ない行き違いを描いた「鬼ごっこ」「烏頭坂今昔」「鬼女の息子」など全八篇を収録。
著者等紹介
平岩弓枝[ヒライワユミエ]
昭和7(1932)年、代々木八幡神社の一人娘として生れる。30年日本女子大国文科卒業後、小説家を志し戸川幸夫に師事。ついで長谷川伸主宰の新鷹会へ入会。34年7月「鏨師」で第41回直木賞を受賞。平成3年「花影の花」で吉川英治文学賞受賞。平成10年、第46回菊池寛賞を受賞。テレビドラマ、芝居の脚本も数多い
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
椿
12
再読。御宿かわせみシリーズ第27作。「横浜慕情」で弁天様のお参りに、源太郎と花世を一緒に行かせないお吉の配慮に感心。「鬼ごっこ」と「有松屋の娘」が、行き違いで親子の間がうまくいかなくなる話で、やるせなかったよ。2015/06/22
gosuken
8
「鬼ごっこ」も「有松屋の娘」も切なく、悲しくなった。2014/11/13
はるる
7
「三婆」なんというか人間の奥深さをしみじみ感じた。血縁ってほんとに他人から見ても窺い知れない、当人同士だけの関係性ってあるよなあ。「鬼ごっこ」母親が全て語るまでは、子供が何を言ったとしても母親なら受け入れろよーとか呑気に思ってたけど、「汚い」の一言はキツい…。しかも娘からか…。たまにこういうオチのない話があるのが、御宿かわせみの良さだと思うけど、この話は辛かった。2018/04/02
rokoroko
7
再読。しみじみと良かった2017/02/27
まる
5
御宿かわせみ を読んでいたのはいつ頃だったか、何年前だったかと記憶を辿っても思い出せないほど、間があいての読了で、主たる何人か以外の関係がよく判らないまま読み終わった。それでもかわせみの雰囲気には充分浸れるほどに、文章のあいだからかわせみの世界が広がって安心できる。作者のなかに殆ど実物のように出来上がっているに違いないかわせみの世界だった。2022/08/17