内容説明
死の予感と家族への愛。茶封筒の中から偶然発見した原稿用紙への走り書きは姉の遺言だった。没後二十年、その詳細を、実妹が初めて明らかにする。
目次
ちりばめられた姉の声
根来の器の中に
第一の遺言状
一九七一年の姉
遺言状と『ままや』
『父の詫び状』けしからん
あっぱれ遺言状もどき
母は強かった
氷川坂
青山
マミオの引っ越し
保険
宋胡録
印税
『ままや』に託されたもの
著者等紹介
向田和子[ムコウダカズコ]
昭和13(1938)年東京生れ。長姉は向田邦子。実践女子短大を卒業後、保険会社などに勤務。その後、喫茶店経営を経て小料理屋「ままや」を開店、20年間営業を続けるが、平成10年3月に閉店
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感想・レビュー
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つちのこ
44
遺産相続の話はどうしても生々しくなるが、意外にあっけんらんと分配が進んだように思えた。相続がスムースにいくのは、家族関係が良好ではないと難しいが、向田家の家長として影響力があった向田邦子の、お金に関しては割と無頓着な天真爛漫さがあってのゆえか。死を予感していたかのような走り書きに近い「遺言もどき」では法的にも強制力はないが、遺産分割協議で“争族”とならずに丸く収まったなら、邦子の思惑通りにうまくいったのであろう。まずは、めでたし。それにしても邦子の悪筆。まったく読めやしない。編集者泣かせとはこのことか。2024/12/23
がいむ
21
飛行機事故で、まだ若いといえるお年で亡くなった向田さんが遺言?図書館で見かけて興味を持って借りてきた。お金、マンションなどの資産の分け方をざくざくと走り書き。事務的で勝手に決めつけているようでいながら、家族への愛情が感じられる。長女だなあ。妹さん(末っ子)の文章はおだやかでちょっとのんびり。家族からみた向田さんはおっちょこちょいのところも多く親近感をもてる。2013/09/21
ひこうきぐも
18
図書館にて。妹さんの姉、向田邦子に対する愛情を感じました。向田邦子の生原稿もありなるほどすごい字体だと思いました。事故以後に細かい事などがわかりまた作品を読みたくなりました。2014/02/19
鎌田一恵
8
昨年、トットチャンネルを観たときに向田邦子が親しい人として登場していて、いったいどんな人だったのか?と気になってなんとなく買った本。妹から見た姉の姿を二通の遺言状をベースに話が進む。私も末っ子だから著者の考え方や見方がとても共感できた。2017/06/16
nizimasu
7
個人的に好きな作家である向田さんが生前に「遺言書」を残していたとは知らなんだ。その中身もさることながら家族についてあれだけ忙しいながら思いを馳せていた向田さんの人間臭さはご本人のエッセイよりも妹さんの和子さんの書かれたエッセイから感じられる。遺産の額も適当だったり目録の違いに愛猫への思いとか面白くてあっという間に読み終わる。向田さんの代表作に修羅のごとくがあるけどご本人も長年の不倫に闘病などの修羅を抱えながら生きてきた集大成ともいえる遺言に向田さんの生き方や始末みたいなものの哲学が感じられて清々しくもある2015/09/17