出版社内容情報
慶長18年、伊達政宗の使節支倉常長を団長とする一行がメキシコに到着。望郷の念にかられながら、帰国できなかった侍の人生を描く
内容説明
慶長18年、伊達政宗の使節支倉常長を団長とする仙台藩士百余名がメキシコをめざして仙台を出帆したが、侍たちをうけていたのは失望の日々であった。日本ではキリシタン禁制令が出され、帰国の途は絶たれた。望郷の念にかられながら、異国で命を終えた侍たちとその末裔の運命をたどる異色長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TheWho
11
1613年に伊達政宗が、時のスペイン国王とローマ法王に派遣した支倉常長の慶長遣欧使節団に随行した仙台藩士百余名の数奇な運命を経済小説家の大家が語る歴史物語。本著は二部構成で一部は、支倉常長と共に苦難の末にメキシコに渡った仙台藩士の多くが、メキシコに取り残され無為の日々の中で望郷と主命、情勢の矛盾に苛まれながら異国の地で埋没していく侍達の悲哀を語り、二部は、著者がメキシコに渡った侍達の痕跡を探す歴史ルポであった。現代と400年前の歴史が交差する心に残る一冊です。2015/08/10
北之庄
6
支倉遣欧使節団をモチーフとして描いた、著者には珍しいエンタメ色彩が強い作品。団員として渡墨するもイスパニヤ同行は許されず、不本意ながらアカプルコで無為な滞在を余儀なくされた侍達の話。あまり好みではなかったが、城山作品にはこんな感じのものもあるんだと思った次第です。2016/07/03
スライサー
4
★★★☆☆ 前半の侍たちの物語は面白くもつまらなくもないけれど、後で城山三郎自身が侍の痕跡を訪ねてメキシコを訪問するくだりはとても面白かった。2013/09/28
まみよろ
4
伊達政宗の遣欧使節は有名ですがまさかのイスパニア、ローマに行けずメキシコに残ったサムライたちという日陰についての話。浪漫に溢れているが、第二部の城山氏の現代のメキシコでの調査ルポのように混血のメキシコ人から特定の人種、国籍の人間を探し出すのは無謀なんだろうなと感じつつもやってみたいと思う僕がいるわけで。2013/03/11
Arata Matsui
3
伊達政宗の遣欧使節団に題を取ったのは面白かったが、やはり史料が乏しいのか、メキシコの記述がボンヤリしている感じ。ただ支倉常長の行程など知らなかった部分も多く、興味深い。2014/11/17