出版社内容情報
一個の青磁の花入れが、製作者と再びめぐりあうまでに十年の歳月が流れた……十三人の手を経たその壷は十三の人生を観照した。巧緻を極めた小説の粋! 連作13話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tama-nyan
4
こちらも谷津矢車さんがXにポストしてたので読んでみた。昔の本だからどうなんだろうと思ったけどすらすらと読める文章でした。無名の陶芸家が作ったたまたま良く出来た壺が行く先々の色んな階級の色んな年代の人の世界を覗き見させてくれて面白かった。最後に作った人に姿だけを見せるあたりがこの壺タダモノではないと思った。戦前の上流社会の人達にとって戦後は貧しかったんだ。新鮮な視点に気づきました。2024/05/04
kyomasa99
1
最近高い評価がされているらしいので読み始めました。奇跡的に生まれた素晴らしい出来の青い壺がさまざまな人の手に渡る中での出来事を描いた作品。50年ほど前の作品なので時代の変化は感じつつも楽しく読ませていただきました。家族あるあるや高齢者あるあるなど、時代は変わっても同じようなことが起こるんですね。2025/01/11
マクド青年@三浦派
0
恐ろしいくらい人間の嫌な部分を描くのに長けてる。2011/07/30
renren
0
「悪女」と同形式。個人的にはこっちのほうがすき。「悪女」ほどの意外さというか,舌を巻くようなヤラレタ感や緻密な印象がない代わり,何ともいえないやさしさとペーソスに満ちている。同じ家にいても同じ景色が見えているわけではない,とか。いいなぁ。2009/07/13