出版社内容情報
お市から淀の方へ、母娘二代にわたる秀吉への復讐劇、そして春日局、桂昌院ら大奥の女たちの哀しみ……。著者晩年の歴史大河小説
内容説明
「げに女とは怖しきものよ」―。徳川にお市の血が流れ込んだ。その将軍の胤をめぐって、今度は大奥の女たちが熾裂な戦を始める。怨念が怨念を呼び、政治を翻弄する。春日局、桂昌院、月光院、お知保、おぎん、加代…、歴史に浮き沈みする女たちの謀略奸計の渦の果てに、私たちの目に映ずるものは何か。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
taku
23
ついに淀殿も母お市のもとへ。戦国に生まれし女の覚悟と散りざま、とくと見届けた。彼女にとって、脳裏に焼き付く母の姿は何より大きく、天下の大勢に従うことができなかったのだろう。豊臣は滅び徳川の世へ。やはり家康は敵方として登場する方が面白いな。切支丹弾圧では『沈黙』と重なる人物や場面が出てくる。パードレ・ロドリゴを思い出した。そして舞台は「女の戦いの場所」大奥へ。女―女―女―女 女―女女― 大奥の女はあああああーーー毒を盛る 火もつける。こえーよ。2016/08/23
ぶっくlover
6
女に限らず、自分がどう生きて活きたいのか、考える作品でした。2019/05/11
黒豆
5
上に続いて女性のしたたかな戦いが描かれているが、「生き残った人々」での御伽衆となった織田信雄の人生など興味深かった。2018/02/06
ワッツ
4
大坂冬の陣から江戸時代は大奥での女達の争い。高校以来の再読だが、全くもって大奥とは腐った女達の巣窟である。お市、淀の烈しい生涯。淀の方の信念を貫く為、随分沢山の命が犠牲になってしまった気がするが、人として、大奥の女達と比べてみても、実に潔い女性であったと思う。大奥という所が何百年も機能していたことに驚きを感じる。人間世界とは実に馬鹿馬鹿しいものだ。そして、遠藤が晩年親しくしていた頼近美津子が解説を担当しているが、大河ドラマの演技はいまいちだったなぁ。そんな頼近も若くして亡くなってしまった。2015/03/01
okaching
2
当時の庶民、農家の人たちは死を覚悟してまで一揆を行う。そこまで生活に追い込まれていたのかと思うと悲しくなる。ただ、徳川家の人たちも自分の暮らしを守るので必死。今の自分の豊かさに感謝を覚える。2014/05/03