出版社内容情報
シベリアに送られれば二度と美千子に会えなくなる─梶は冬枯れの荒野を這うように南を目ざす。そして人間の形をした雪の小さな丘が残った。大河ロマン遂に完結
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Sumiyuki
1
傑作。自由を愛する梶がソ連を神聖視していた点が理解できなかった。ソ連の実態が知られていなかったからか。@いつでも、現実は沢山の特殊事情を撒き散らし、一般論で大ざっぱに締め括って、かなりの数の特殊をこぼして行く。歴史はそうやって進んで来たのだ。人間は、だから泣く。苦しむ。そのくせ、それだからまた生きても来れたに違いない。@骨身にこたえた一週間の野宿が、彼の反逆的な魂を運命に従順ならしめたという方が、当っている。意義づけと説得は、あとから行われた。2018/10/04
