出版社内容情報
冬山の峻厳さを描く表題作のほか、「地獄への滑降」「遭難者」「遺書」「霧迷い」など、遭難を材にとった迫力溢れる山岳小説全十編。
遭難をめぐり、人間の本質を深くえぐった初期短編集
冬山の峻厳さを描く表題作のほか、「地獄への滑降」「遭難者」「遺書」「霧迷い」など、遭難を材にとった迫力溢れる山岳小説全十編。
内容説明
冬山では午後になって新しい行動を起こすな―山で発熱した者のためにこのルールに背いて、吹雪の中を彷徨う一行と、その身を案じる家族の懊悩を描く表題作の他、「地獄への滑降」「霧迷い」「雪崩」など、遭難を材にとった全十編を収録。峻厳な山を前に表出する人間の本質を鋭く抉り出した迫真の山岳短編集。
著者等紹介
新田次郎[ニッタジロウ]
明治45(1912)年長野県生れ。本名藤原寛人。無線電信講習所(現在電気通信大学)卒業。昭和31(1956)年「強力伝」にて第34回直木賞受賞。41年永年勤続した気象庁を退職。49年「武田信玄」などの作品により第8回吉川英治文学賞受賞。55年2月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
130
新田次郎氏の山岳短編集。題材は遭難。ふとしたアクシデントや油断、無理な計画等が、登山者を遭難の危機に陥れる。遭難してから、どのように生還するか。携行品により生還の可能性も変わる。雪洞を掘るにしても、スキーで掘らねばならない場合もある。乾いた暖かな衣類のストックが生死を分けることもある。極限状態で、遭難者達は相手を非難する等、人間性が剥き出しになることもある。遭難を通じて、人間の弱さやエゴが描かれる。やるせない内容の作品も多いが、筆力により読ませる。特に雪山での判断の誤りは死に繋がる。興味深く読めた作品。2019/08/11
ふじさん
78
冬山の峻厳さを描く表題作「冬の掟」のほか、「地獄への滑降」「遭難者」「遺書」「霧迷い」など、遭難を材にとった迫力溢れる山岳小説全十編。この作品に描かれている遭難の多くは、男女関係における変な意識や嫉妬、登山家の下らないプライドが判断を誤り等が要因となって遭難に至っている。登山は、判断を繰り返すゲームと言える。だから、リーダーは自分たちを置かれた状況を的確に把握し、最終的な判断を下す。ちょっとミスが大惨事につながることは、登山だけの話ではない。読んでいて、この作品はそんなことを強く語っているような気がした。2026/01/27
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
72
高尾山への遠足のお供。タイトル通り冬山にまつわる短編集。やはり冬山というと遭難事件が題材となる。表題作は山で発熱した仲間のために薬を取りに戻り冬山を彷徨する若者たち。私は冬山登山をやったことはないが、晴天の雪山は眺めているだけでも素晴らしい、でも一旦牙をむくと容赦なく人の命を奪ってしまう。山に正面から向かい合う人々の描写、雪山の情景、こういった作品はやはり新田次郎は素晴らしい。だが、山を離れた、例えば若い女性の言動などはどうしても古臭さを感じてしまう。これはしょうがないことですね。★★★2016/11/05
ばりぼー
56
冬山での遭難をテーマにした短編集。こんな厳しい条件での登山なんてしたことがありませんが、迫真の筆致に身震いがしました。峻厳な山と真剣に向き合わず、下界の雑事を持ち込んだために判断ミスを犯す人間の愚かさが、情け容赦なく描かれています。仲間への嫉妬、異性の前での見栄、つまらないプライド、知識不足による油断などなど。「早く下山して焼肉を食いたい」というくだらない理由で判断を誤り、雪崩に埋まって死を覚悟したという解説の角幡唯介氏の体験談も壮絶。雪で窒息する様子が生々しく、本編以上に息苦しさを覚えました。2016/01/27
金吾
41
○遭難に関する短編集です。それぞれの話の臨場感があり、読んでいるだけで寒くなったような気になりました。「遭難者」「冬山の掟」「おかしな遭難」が面白かったです。2025/04/01




