文春文庫<br> 霧の子孫たち (新装版)

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文春文庫
霧の子孫たち (新装版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 281p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167112394
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

貴重な高原植物の群生する霧が峰に、突如として降りかかった道路計画。建設反対に立ち上がった地元有志たちの、あくなき闘いを描く。

内容説明

レンゲツツジの鮮やかな赤、ニッコウキスゲの目映い黄色、残雪のように輝くスズランの白。貴重な高層湿原植物が群生する霧ヶ峰高原に、突如として降りかかった有料道路建設計画。反対に立ち上がった地元有志は官権との闘いに傷つきながらも、自らの生を見つめなおす機会を得る。自然と人間の関係を根源から問い質した意欲長篇。

著者等紹介

新田次郎[ニッタジロウ]
明治45(1912)年長野県生れ。本名藤原寛人。無線電信講習所(現在電気通信大学)卒業。昭和31(1956)年「強力伝」にて第34回直木賞受賞。41年永年勤続した気象庁を退職。49年「武田信玄」などの作品により第8回吉川英治文学賞受賞。55年2月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mura_ユル活動

115
新田次郎、20冊目。著者は諏訪市出身。ペンネームの由来も出身地から。霧ヶ峰(車山)が舞台、自然破壊。やはり彼の文体が好きだ。山を登るように岐路にあたっては、選択し少しずつ推し進めていく。また、「美しい」と言ったものはとても美しく感じると共に画像としても見たくなる。自然と観光のせめぎあい、考えさせられる。自然が政治に使われる。昭和40年代、多くの開発が進んだ時期。その人々の考えは私にも理解出来るほどシンプルであった。行政の組織と自然に絡む法律も興味を引いた。2019/10/29

大阪魂

53
むちゃ気合い入ってるなあ、自然描写もむっちゃ詳しいなあ、っておもてたら、新田さん自身が参加してはった自然保護運動の記録を小説にしはった作品!50年以上前、長野県企業局が進めてた霧ヶ峰ビーナス・ライン。計画どおりやと貴重な植生は破壊するし旧御射山遺跡も貫通してしまうしってことで青山、宮森、牛島ら有志が反対運動を立ち上げ!大迂回ルートを実現しはるんやけど敗北感も…自然と人間って難しいテーマやけど、やっぱ肥料を嫌う植生には、ゴミのポイ捨て、排泄が致命的なダメージ与えるってこと意識しやんとますます自然やばいやんね2022/09/17

おか

45
新田さんの風景描写 やはり最高です。最高なだけに その自然を破壊する人間への憎しみが増加する。30代の頃から何度も読んでいる本だが 読むたびに自然破壊が広がり、そして、今は 破壊された自然を何とか取り戻そうとする人たちも増えたかもしれないが 破壊する人も増え続けている。道徳って教科はもう無くなったんでしたっけ?2024/03/20

T2y@

41
霧ヶ峰へのトレッキングに向けた、予習読書として。 ビーナスロード建設における、地元の反対運動を題材にしたものだが、ここは、新田二郎氏の出身地でもあったのですね。 この地への並々ならぬ愛着と、著者が関係者に近しい処に居た事も伝わってくる。 ピークを目指すと、自ずと車山周辺が散策メインとなるが、読書を通じて御射山遺跡への興味が俄然高まったのだった。 2019/05/31

kawa

34
著者の出身地・諏訪での霧ヶ峰ビーナス・ライン建設反対運動の軌跡を追うノンフィクション風小説。今から50年以上前の作品(昨日のことのように感ずる)だが、自然保護運動の記念碑的作品と評価されている。事実、この数年後、この道路の延長地の美ヶ原台上の建設計画も中止となった。お陰で、辛うじて自然が保たれて私たちにも少なくない恩恵をもたらしている。とは言え、今や保護運動だけでは不十分で、農業者・山林事業者の減少、温暖化で我が町の里山の荒廃は確実に進んで、今では手遅れの状態になっている。2021/10/04

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