出版社内容情報
まるで違った生きざまの青年二人がブタ箱の中であたためた友情の行方を描く表題作のほか、「君が代は」「帯勲車夫」「海老茶式部の母」「自転車お玉」の異色作五篇収録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかつや
3
短編5編収録。すべて文明開化の頃を舞台に、権力など強いものに翻弄され、虐げられる庶民を主人公としている。歴史の資料がうまいこと話の中に盛り込まれていて面白かった。井上ひさしらしいユーモラスな軽さもある。でもどんなに抗おうとも最終的には弱者は弱者でしかないので後味はあまり良くないな。金と権力にはかなわないってのが辛いところだ。というか、これらの話が自分の妻をボッコボコにぶん殴りながら書かれたことを思うとなかなか深みがあるな。弱者に寄り添う視点であるように見せかけて、お前家庭の権力者、暴君じゃねえかっていう。2021/03/10
松田望
0
九九年頃、上京してすぐ近所のフリマで購入。一〇冊一〇〇円で購入。雨に濡れてふやけカビが生えているがそれもまた味。明治時代という巨大なうねりに翻弄される庶民を描く。読んでいて涙が止まらない。2012/05/10
oneko
0
明治という時代と日本人の哀しさ2010/03/19