出版社内容情報
一通の投書から新聞社主催の南仏国際駅伝が実現しようとしている。仕事に賭ける男のロマンと投書したOLの隠された狙いが交錯する
内容説明
「ゴッホゆかりのプロヴァンス地方で国際駅伝を」一女性の投書に惹かれた和栄新聞社企画部長木村は、実現に向けて南フランスへ飛んだ。荒れた古城や教会を訪れ、謎めいた伯爵夫妻の館に滞在。仕事に賭ける男の情熱と投書者のひそかな企みがついに交錯した…。炎の画家が愛した美しい風光のなかに巨匠が描く愛と復讐の構図。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
110
松本清張晩年の作品。フランスプロヴァンス地方でのエキデンの開催という投書の提案を受けて、大手全国新聞社の企画部長木村が計画実現のためにフランスに飛び、関係先と協議を行う。が、それは提案者の多島通子の個人的な復讐計画実現のための策略であることが次第に判明して事件はプロヴァンスの有力伯爵とその日本人妻、名作絵画の模倣作家などを巻き込む事件となる…。松本清張節に久しぶりに浸った。プロヴァンスを舞台にするだけあってどうなるかな、と思ったが、彼の勉強ぶりがいかんなく発揮されて相応の読み応えある作品であった。⇒2024/06/25
エドワード
23
南フランス・プロヴァンスでの駅伝を提案する投書から始まる物語。それは亡き兄の恨みをはらそうとする妹の仕掛けたものだった。新聞社の企画部長・木村が駅伝実現のために奔走する世界陸連実力者たちの虚々実々の駆け引き、画壇の裏工作、画家の自殺にまつわる愛憎など、社会の暗部が美しいプロヴァンスの風景を背景に描かれる面白さ。松本清張の晩年の作品は海外が舞台になるものが多い。大分県竹田市とプロヴァンスの、古城や湧水などの相似や、ゴッホやクローデルのエピソードなど、一種の教養小説の性格もあり多重に楽しむことが出来る。2020/04/17
i-miya
6
S63.01-H01.10 月刊ウィークス。2010.04.07 (プロヴァンス地方) アヴィニョン、マルセイユ、地中海、アルル、オランジュ、カルパントラ、サロン、バカレ湖、エクス・アン・プロヴァンス、ローヌ川、ニーム、アルパロン、ミラマ、マルティク、サン・レミ、タラスコン、レ・ボー。1. 和栄新聞社企画部長木村信夫。多島通子と知り合う、当初が切っ掛け。オーストリア出張。次長辻修三。企画の提案。山口泰子。マンネリ。トラキア・・・古代ギリシャと小アジアにまたがる印欧語族(BC5C)。2010/04/13
トラッキー
3
紛れもなく清張の推理小説だが、舞台は南仏プロバンス。清張が外国を舞台にしたことがあるとは知らなかった。しかも極めてローカルな現地事情や風景が見てきたかのごとく織り込まれている。ストーリーの緻密な組み立てはさすがだが、最後の最後で少し結末を急ぎ過ぎたのか、唐突な終わり方になっているのは惜しい。旅先で読むにはちょうど良い一冊だった。2019/01/29
どありぶ
2
黒革の手帖とか砂の器読んだあとだと物足りなさがかなりある。どこで盛り上がるんだろうと期待してたらそのまま終わったって感じ。2013/08/03