出版社内容情報
長引く戦争で、国力の尽きつつある日本。ロシアのバルチック艦隊が発動する。国家の命運を賭けた大海戦が始まった──。全巻完結
内容説明
本日天気晴朗ナレドモ浪高シ―明治三十八年五月二十七日早朝、日本海の濛気の中にロシア帝国の威信をかけたバルチック大艦隊がついにその姿を現わした。国家の命運を背負って戦艦三笠を先頭に迎撃に向かう連合艦隊。大海戦の火蓋が今切られようとしている。感動の完結篇。巻末に「あとがき集」他を収む。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
253
メインイベントと思われる日本海戦は淡々と粛々と記述されていました。つまり、あくまで日本海戦は「記録」に徹し、リアルメインは5項に及ぶ「あとがき」にあったのではないかと思いました。『・・・登ってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それをのみ見つめて坂を上って行くであろう』というフレーズに感動せずにはいられませんでした。2025/06/16
koji
190
完結。司馬さんが作家として脂の乗りきった40代のかなりを費やした「この畢生の大作」をほぼ3ヵ月かけて読み切って放心しています。あとがきに「満州における陸軍の作戦は、最初から自分でやってみた」とあります。このように一人で調べ、考え抜き、文章に起こし推敲したからこそ、堅牢で臨場感溢れ、又香気を感じる(特にラスト「雨の坂」は秀逸)作品になったのですね。感服です。さて8巻の感想。瀬戸際の日本を救った日本海海戦。最早奇蹟ではありません。司馬さんの筆も踊り興奮が伝わります。全体の感想は、これから読む関連書籍で少しずつ2024/04/26
mitei
181
最後の奉天へ・・・。に感動した。好古の生涯の仕事だったのだろうなと思った。時代はどんどん暗い方向へ行っていたが日露戦争がひとつの時代の分岐点になったのだと思った。2010/01/27
yoshida
167
再読。日本海海戦で連合艦隊がバルチック艦隊を撃滅。ポーツマスで講和が成立し日本はロシアに辛勝する。明治維新以来、培ってきた日本の一つの到達点。有色人種は欧米列強に勝てないとされてきた時代、日本が独立を確保する大きな意義を持つ。また、テクノロジーへ訓練での練達が互した最後の時代かもしれない。例えば大東亜戦争でレーダーやVT信管に練磨で対抗出来たかは疑問である。訓練は大切である。しかし、科学技術の進歩は、訓練だけでは追い付けない。日本には資源がない。哀しいが精神主義に走る面もある。現代も共通することだろう。2019/11/10
森林・米・畑
159
長編小説を読み切った充実感は最高!心残りは年内(2022)に読み切れなかった事。小国日本が大国ロシアのバルチック艦隊を全滅させ、日露戦争の勝利へ。負けたら日本は滅ぶという意識で戦った明治の日本人は凄いと思った。日露戦争以後の日本の行方は怪しくなるが、何故そうなったのか?考える機会も与えられた。小説とはいえ、歴史・思想・地政学など新たな興味を持たせてくれた。ロシアのイメージも専制君主制から変わらないなぁ。2023/01/02