内容説明
モーツァルト、アインシュタイン、ヴィトゲンシュタイン、南方熊楠―人類史を変えた超天才たちの精神病理を解析すると、発達障害の存在が独創のファクターだったことが見えてくる。「空気が読めない」人々をいかに生かすか?…ヒントは本書に!
目次
はじめに 天才と狂気
第1章 独創と多動のADHD
第2章 「空気が読めない」ASDの天才たち
第3章 創造の謎と「トリックスター」
第4章 うつに愛された才能
第5章 統合失調症の創造と破壊
第6章 誰が才能を殺すのか?
著者等紹介
岩波明[イワナミアキラ]
昭和大学医学部精神医学講座主任教授(医学博士)。1959年、神奈川県生まれ。東京大学医学部卒業後、都立松沢病院などで臨床経験を積む。東京大学医学部精神医学教室助教授、埼玉医科大学准教授などを経て、2012年より現職。2015年より昭和大学附属烏山病院長を兼任、ADHD専門外来を担当。精神疾患の認知機能障害、発達障害の臨床研究などを主な研究分野としている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AICHAN
52
図書館本。発達障害とは何なのか知りたくてこの本を読んだ。自閉症もそのひとつだと知った。そして発達障害が何らかの天才的な才能を引き起こすことがあるという。万能の天才ダ・ビンチを例外として天才の多くが偏った才能を持つことには気づいていた。山下清がサヴァンというのには十分に納得できた。司馬遼太郎の『胡蝶の夢』に登場する島倉伊之助(司馬凌海)がASD(自閉症スペクトラム障害・アスペルガー症候群)というのは「なるほど」だった。芥川龍之介も夏目漱石も野口英世も大村益次郎もアインシュタインもモーツァルトも↓2020/06/19
Tomoichi
38
天才と精神疾患との関係を実際の人物や小説の登場人物など具体例で解説。一気に読ませる内容です。精神疾患と遺伝の関係や癲癇と天才との関係も欲しかった。最終章の「誰が大脳を殺すのか?」には同意できかねる意見も多い。日本が100年に一人の天才を望むのか一年に一人の秀才を望むのか国民合意ができなければ欧米型教育は難しい。しかし発達障害の子供達への支援と周囲の理解、親の協力はより必要になるだろう。2019/09/01
gtn
28
有名人の症例をふんだんに紹介しており、飽きない。ただ、統合失調症、薬物中毒、アルコール依存症等、本当に発達障害の事例なのかと首をかしげるものも多い。2019/11/23
スノーマン
28
タイトルに惹きつけられる。様々な分野で天才的なことをする人たちが、ある程度の変わり者と評されるのは今更感もあるが、発達障害と結びつけて彼らの行動を振り返るのがなかなか興味深かった。現在の課題から注意が逸れて無関係な事柄についての思考が生起する、マインド・ワンダリングという概念。私もボーっといろんなことを考えてる子供だった。更に手に負えなくなったような状態が、息子のように、大切な話も全く聞いていない→忘れ物も多い、みたいなことに。しかしこの概念こそが、様々な創造力に繋がるプラス面もある。2019/09/29
はるわか
25
真の天才とは優等生ではなく不穏分子である。彼らは社会生活になじめず孤立しやすい。その才能はなかなか理解されず、常人の理解が及ばない危険なものに見える。ゆえ天才は社会から意識的に排除されやすい。天才の能力が何らかの発達障害や精神疾患と結びついていることは珍しくなく、センセーションシ-キング(常に刺激を求める性質)やマインドワンダリング(思考が拡散する傾向)は天才の特徴の一つであり、発達障害とも関連が大きい。ADHD:独創と多動。ASD:空気が読めない。トリックスター:創造の謎。うつ。統合失調症:創造と破壊。2019/09/02