内容説明
不可解な若者の激増は社会のせいか、単なる甘えなのか。「論座」から「文藝春秋」まで、十九人の識者による重要論文・対談十三本を収録。この一冊で若者論争の全体像が明らかになる。
目次
第1部 希望か、甘えか(「丸山眞男」をひっぱたきたい―31歳フリーター。希望は、戦争。(赤木智弘)
ベタな時代を生き抜く素人芸のチカラ(松原隆一郎;太田光)
「承認格差」を生きる若者たち―なぜ年長世代と話がつうじないのか(萱野稔人) ほか)
第2部 貧困か、自由か(戦後初めて、若者が路上に放り出される時代(佐藤優;雨宮処凛)
「意欲」を持てる社会をどう作るか(山田昌弘;三浦展;門倉貴史)
新庄、中田はなぜ引退したか―「三年で辞める若者」に通じる平成的な労働観(城繁幸) ほか)
第3部 絶望か、殺人か(「臆病な殺人者」加藤智大と酒鬼薔薇聖斗(高山文彦)
若者よ、殺人犯を英雄にするな(重松清)
アキバ事件をめぐる「マルクスもどきの嘘八百」を排す(仲正昌樹))
「若者論」ブックガイド(若者論の四〇年(浅野智彦))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NICK
6
右から左、実学から哲学、根性論から擁護論まで、バランスよく詰め込まれた「若者論」の縮図。バランスがよいとはいったが、逆に言えば共通の理解がそれほど見受けられず、各人が各人の思うように論じているようでもあり、「若者」を論ずることの難しさが浮き彫りになっている気がする。やはり注目の論考は赤木智弘の『丸山眞男をひっぱたきたい』だろう。もはやかつてのように経済成長の見込めないこの国において、持たざるものであるフリーターを始めとする貧困層の希望は全ての格差が平等になる戦争という事態である、という宣言は衝撃的だ。2014/03/26
もっち
5
2016年一発目の読書。今読むと笑ってしまうような議論も含まれています…笑メモ的に。赤木智弘の丸山文章、プレカリアート運動、萱野さんの二種類の承認(赤木的なナショナリズムを呼び出す、ルサンチマンを基にした承認欲求・宮崎的な反社会を呼び出す、ナショナリズムが生む秩序ゆえに差別される人の承認欲求)、ドリームインキュベーター堀さんの「インド行け」、宮台のニート擁護(今日は「脱社会的」若者が増加した。ニートにはあえて「まったり」系がいる。彼らと対話すべし。〈システム〉による〈生活世界〉の空洞化)などなど…2016/01/02
も
3
約半数はおじさまが若者に対して悩んだり憤ったり分かった気になったりするための自己充足話。おじさん向けのなか、重松清は若者に向かって一生懸命考えて言葉を伝えようとしていた、と思う。共感してしまったのは赤木さん。宮台さんは自身のみの著作の方が詳しそう。2009/06/29
内緒です
3
大学の授業で借りた本です。全部は読んでないです。が、様々な方の「若者」に対する考えがよく分かり、私自身は、若い世代に入る年齢ですが、参考になります。2009/04/16
tolucky1962
2
三部15編構成で多角的。最初の赤木氏の著は広く引用されていて読んでおきたかったもの。格差で不利な状況な人がなぜ右によるかの論理が興味深い。その他自己責任論も多いが、機会が得られない若者が一定の率でいることは認識しておく必要がある。形だけ欧米化しても、評価能力がない上層部による評価主義は会社の破綻だけでなく、社会の破綻につながる気がする。最後の仲正氏の文は他者の意見を感情的に否定しているだけで、何を言わんとしているか主張がわからなかった。2014/07/14
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