内容説明
年金生活に入った初老の男性が出会い系サイトで拾った生きる悦び。官能文学の第一人者が老いと性とを見つめる力作長篇。
著者等紹介
阿部牧郎[アベマキオ]
1933年、京都市生まれ。少年時代を秋田県で過ごした後、京都大学仏文科を卒業。サラリーマン生活のかたわら文筆活動を始め、1988年、「それぞれの終楽章」で直木賞を受賞する
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感想・レビュー
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石野 真
1
子供時代、学生時代などの性への欲求を回想しながら、若い女性と性的な関係を持った70歳近い主人公の話。性的な描写はそれほど猥褻ではなく比較的面白い。EDの老人が若い女性と関係を持つシーンなどは嘘くさい感じがしたものの、読後感は悪くない。妻との関係が薄いのがいまいち。2012/05/20
雨音-amane-
0
年金生活になって数年の一郎。老いを受け入れられず煩悩だらけ。そんな中出会い系で32歳の唱子と知り合う。溢れる下心を隠しいかにも無害な高齢紳士を装って近づくもどうにか男女の仲になれないかとあれこれ考えを巡らす。EDを克服しようと色々試みたりいつまでも男でいたいという強い思いが伝わってくる。予告、達成、往く、ズロースなどの言葉が時代を感じさせる。自身の回想も重ねてか度々少年時代の思い出が出てくるのはページ数も多く間延び感は否めないけど高齢者だからと言って性欲が無い訳ではない性に対する考え方がわかって面白かった2015/03/14