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文春新書
貧民の帝都

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  • サイズ 新書判/ページ数 251p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166606559
  • NDC分類 369.2
  • Cコード C0221

内容説明

明治期、東京に四大スラムが誕生。維新=革命の負の産物として出現した乞食、孤児、売春婦。かれらをどう救うか。渋沢栄一、賀川豊彦らの苦闘をたどる。近代裏面史の秀作。

目次

序章 山手線の男
1章 混乱と衰微の首都
2章 困窮民を救え
3章 さまよう養育院
4章 帝都の最低辺
5章 近現代の暗黒行政
終章 小雨にふるえる路上生活者

著者等紹介

塩見鮮一郎[シオミセンイチロウ]
1938年、岡山県生まれ。岡山大学法文学部ドイツ文学科卒。河出書房新社編集部をへて作家として独立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鷺@みんさー

46
明治維新直後、大名たちが逃げ出した江戸で「貧民」が一気に増加。しかしながら欧米化を目指す新政府は、彼らをひたすら「外国人に見せないよう」大通りから追い出し、街の隅のスラムへと追いやる。そこから現代にいたるまで、「自己責任」の名のもとに、喜捨の心がなくなったため路上生活者などは見て見ぬふりをされるようになった。渋沢栄一が始めた福祉政策をメインに、明治・大正の貴重な貧民街の姿を紹介し、「かわいそう、という気持ちで施しをしてはいけないのだろうか」と問う。自己責任=明日は我が身、だ。2018/05/08

佐島楓

35
とても衝撃的な本だった。御一新の混乱で江戸の町は人口が半減し、東京と名を変えた「近代国家」の象徴は貧民の町になったという。掲載されている地図を見れば馴染みの場所もスラムであったことがわかる。関東大震災、戦災を潜り抜け、現代日本は「自己責任の国」となった。困窮者に差し伸べられる手は、ほとんどが民間のボランティアのものになったと著者は嘆く。東京のこれからを考えさせられる意義深い本だ。2014/10/11

AN

31
再読。渋沢栄一の事を初めて知った本。江戸城の受け渡しから生じた混乱期には江戸の街には貧民が溢れ、明治の四民平等によって仕事を失くした元武士階級も路頭に迷った。こうした貧困層に仕事の技術をつけさせ自活の道を模索するための養育院が東京に設立された。この本では渋沢栄一など貧困層、孤児の救済に奔走した人々と彼等が設立した施設について記されている。福祉の綺麗な所ではなく、自活困難な人々にどの様に養育院等が関わっていったかが纏められている。2021/09/28

ゆみこ

23
大政奉還後の江戸の惨状については初めて知った。日本は急速に豊かになったと思う。ゆとりのある者は更に裕福に、一般市民は時代に置いて行かれないように必死についていき、そして貧民はいつの世も変わらない。自己責任論、施しの是非、充実したかに見える社会福祉。この本には確かに事実は書かれてあったが、貧民側の思いは書ききれてないように思う。貧民は一塊の層ではない。それぞれに異なる生きざまや思いがある。現状から抜け出せずにもがいているはず。届かぬ福祉に背を向けている。窓口を、共に考えてくれる駆け込み寺を充実させてほしい。2021/09/13

Tomoichi

14
明治維新時江戸開城以降の庶民生活の混乱と貧民から始まり養育院に代表される貧民救済の歴史を綴る。内容は歴史の裏面史として面白いが、渋沢栄一のような運営者を批判し宮本百合子のような何もしていない人間を評価する。昭和天皇を天皇ヒロヒトと呼び、乞食を憲法違反とほざく。現代という豊かな社会から、神の目で過去を断罪する、最低な筆者です。2018/01/13

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