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文春新書
文豪の古典力―漱石・鴎外は源氏を読んだか

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  • サイズ 新書判/ページ数 234p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166602643
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0295

内容説明

なぜ現代日本人は自分の国の「古典」を原文で読めなくなってしまったのか?明治四十五年(大正元年)に、与謝野晶子の「口語訳」が出版された時点から、皮肉なことに『源氏物語』の凋落と「日本の古典文化」の衰退が始まった。本書は、文豪たちの「古典力」という観点からの探究である。彼らや彼女たちと古典文学とのかかわりを追究することは、そのまま現代文化のあり方を考える指標ともなる。

目次

1 夏目漱石の古典引用術(正岡子規との友情;漱石俳句と『源氏物語』 ほか)
2 森鴎外の抵抗(「雨夜の品定め」の水脈;運命の女・夕顔 ほか)
3 物語を生きた女・樋口一葉(女性作家たちの肖像;物語としての『一葉日記』 ほか)
4 尾崎紅葉の醒めた視線(『源氏物語』を読み通した紅葉;初期作品『夏痩』のヴェールを剥ぐ ほか)
5 パンドラの箱を開けた与謝野晶子(「男の読み方」と「女の読み方」;晶子の「口語訳」の功罪 ほか)

著者等紹介

島内景二[シマウチケイジ]
1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部に在学中、源氏物語と現代短歌の魅力に目覚めて文学部国文学科に転進。同大学院博士課程修了。『源氏物語の影響史』(笠間書院)で博士号取得。電気通信大学助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クプクプ

75
著者の島内景二さんを知っていて古本屋で買いました。「源氏物語」が、夏目漱石や森鷗外、樋口一葉、尾崎紅葉の作品にどれだけ影響を与え、彼らが、いかに古典力を持って作品を書いたかが、よく理解できました。特に著者は尾崎紅葉の「金色夜叉」を評価していて参考になりました。そして著者は、「源氏物語」を原文で読むことをススメていました。私のような、読書中級者の視界を広げて導いてくれる、なかなか面白い一冊でした。今は売っていないと思うので、気になった方は、図書館等で探してみてください。2024/09/12

かふ

26
明治の作家はまだ文語体で書くものが多かったがそうした作家のテキストとなったが古典の『源氏物語』や和歌であった。それは考えれば当たり前なのだが、もともと文語が出来たから『源氏物語』が読めたのでもなく、それを学んだからだということだった。鴎外の小説の雅体の文語体が『源氏物語』とまったく同じものであるわけでもなく、むしろ『源氏物語』は当時は悪文とされていたようだ。鴎外はそこから文学的雅体を創作したのが『舞姫』だったという。つまりそれは古典文学との文学的格闘を通して生み出されたものだった。2024/04/14

れいまん

4
いや〜、著者の源氏愛は本物で、江戸〜現代までの源氏口語訳を俯瞰している。晶子源氏には特に手厳しい。それにしても、鴎外、漱石に゙おける源氏の影響を指摘し、一葉、紅葉の読み解きにはただただ、感心するしかない。源氏は、あらゆるツールを使い、原文を読むのが一番というのがよくわかる。だがハードルはかなり高いね!2024/06/06

さき

4
やはり、明治時代の文豪たちは古典の吸収力が今とは段違いに高い。作品に古典表現を紛れ込ませるというのも、その古典作品へのリスペクトがあるからこそだと思った。2014/11/21

Waka

3
昔読んだ図書の著者と知らず、東京に住んでいたころ講演会にうかがったことがある。物腰が柔らかく、私の質問にも答えてくださった。湖月抄を購入したのは島内先生のアドバイスゆえ。その島内先生のお名前を偶然田舎の図書館で見つけたので、期待して読んだが、期待どおりで充実した読書体験となった。「理解しようとする努力をせずに古典がわからないならわからない側の責任だ」という旨の文が終盤にあり、大変共感した。もう7年も前に私が古典和歌を独学し始めたのも同じ理由だった。2019/01/25

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