出版社内容情報
近代の日本史は「官」に対する「政」の権力奪取闘争の歴史である。55年体制という政官野合の時代が終り、再び対決の時代がやってきた
内容説明
明治以来の日本の統治は、「政」と「官」の攻防の歴史である。「藩閥官僚」に始まる「官」のエトスは、今に到るも明治以来の超然主義、「政」不信である。これに対して「政」は絶えず挑戦し、絶えず敗れて来た。そして軍・検察官僚がついにこの国を征圧した後、「官」は自家中毒を起こし、敗戦を迎える。そして戦後、五五年体制によって「政」を征圧した「官」は、再び静かな崩壊、自家中毒を起しはじめた。
目次
序章 「政」と「官」
第1章 前史―超然主義の誕生
第2章 星亨の挫折
第3章 猟官―隈板内閣の夢
第4章 山県有朋vs.星亨
第5章 暗殺―追いつめられた「官」
第6章 原敬の時代
第7章 逆転―新官僚の時代
第8章 五五年体制への道
終章 「無党派」は「官」党である
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
34
現在の政治化した与野党の攻防からは想像できないが、官僚一流、経済二流、政治は三流といわれていて、昔は政治対官僚という見方がされていた。官僚の跋扈による政治の機能不全から、政治を取り戻すのが民主党政権の意義だったはずだ。本書はそういった前のフェーズが前提になっている。明治の国会開設の前史から、戦後の55年体制までが詳細に描かれていて、根気が無いと読み通せない骨のある新書だ。選挙に勝っても政権を投げ出す西園寺公望をはじめ、ドイツ流の超然内閣をたまに政に移った主導権を官がどうやって取り戻すか、終始、山縣、桂など2023/02/11
Saiid al-Halawi
6
天皇という後ろ盾の下で超然主義を是とする「官」と、そのカウンターパートたる政党政治の「政」とのパワーポリティクス概観。第8章以降、「政」が完全に落伍した後の、消化試合的に扱われる「官」サイドの内輪揉めも含めて面白いかったです。2013/03/10
amane
2
公正中立のスローガンのもとに実質的な権力を手放さない「官」とそれを改革しようとした政治家たち。攻防は今もまだ続いているようです。2009/05/03
aizer5031
1
本書は日本の近現代史を政官の攻防を軸に綴った、他にはなかなかない良書である。 日本における「官」に対する「お上」意識、当初へ「官」に敵対姿勢を示していた「政」がやがて自滅により「官」に屈服していく過程など、我が国の政治を考える上で知るべき事柄が書かれており、日本の政治を良くしたいと考えるなら是非本書を手にとっていただきたい。2020/09/10
Hiro
1
タイトルのごとく政と官の壮烈な権力争いの様子を戦前から2年前までの55年体制打破までの歴史を要点を突いての解説書と自分では位置付ける。政治とは国民あってのものだということを改めて思い知らされた。2011/07/07