出版社内容情報
謎に包まれた世界的マジシャン・ブルー。悲しい真実が明らかになる時、彼は姿を消した。人格の多様性、未来の可能性を描く異色作
内容説明
生い立ち、年齢、素顔、それらすべてが謎につつまれた世界的マジシャン・ブルー。“呼び屋”の僕は、彼のなかにかつての幼なじみの姿を見た。さらに彼の右腕である人物とも、奇妙な重なりがある。ブルーははたして何者なのか。しかし哀しい真実が明らかになる時、彼は姿を消した。謎の人物をめぐる書き下ろしファンタジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
florine
3
ラジオドラマを聴いて、昆虫学者のファーブルが言ったという「タイム・ブルー」という言葉を確認したくなり、原作を読んでみた。冬のカブトムシや水車を絡め、青の時間というモチーフを上手くまとめてあると思う。来たるべき目覚めのために用意された烈しい時間…なるほどね。ブルーの大掛かりなマジックの種明かしはむろん出来ないにしても、多重人格や恋愛関係にもう少しリアリティが欲しかった。2015/08/06
kinshirinshi
2
どんな小説にもある程度、話のオチというか着地点というか、読者が心理的に納得する結末がある(どんでん返しや叙述トリックなどの意外な結末も含めて)はずだが、薄井ゆうじさんの小説にそれを期待してはいけないのだなとつくづく思う。ノスタルジックな冒頭からぐいぐい引き込まれ、孤高のマジシャン・ブルーをめぐる謎や、「青」のメタファーに心を動かされながら読み進めたが、その高揚感が行き場をなくして終わったようなドライな読後感だった。悪くはないのだけれど。2019/10/20
ルナ
1
ついてけなかった。2019/10/07
へのへの
0
「青く見える物体は、青以外のすべての色を吸収するという。だが青い光線だけは吸収できないために、青を反射させ、透過させ、その物体を青く見せる─」(p.290)「デリケート 安息 栄光 夏 開放感 気持ちよい 公平 広大 失望 寂しさ 信頼 清潔 精神 誠実 男性的 知性 忠実 悲しみ 不安 平和 眠り 夢 憂鬱 落ち着き 涼しさ 冷たい 冷酷」(青色のイメージ効果と意味 - 色カラー http://iro-color.com/episode/about-color/blue.html 2016/08/10)2016/08/10
ikegawa
0
ネットの知人に薦められた本。10年以上前の初読時はよく分からなかったが、今読み返すとそれなりに面白い。でも結末はちょっと消化不良気味なのが個人的に残念。