出版社内容情報
良人ある人々 花の東京 蒼眸黒眸 結婚街道 無憂華夫人
内容説明
菊池寛の創作のライト・モチーフは常に個人の、とくに女性の尊厳と独立と自由の謳歌と主張であった。「士は己を知る者のために死し婦は己の愛する者のために梳る。」よく女の一生は汗と涙にまみれた生涯といわれるのも故なしとしない。しかし、そこに醇乎たる愛さえあれば、あの「梳る」ときのあでやかな姿、こまやかな、やさしい心こそ個人を超えて社会的な関心と改革への参与を可能とすること、このことを、明治以来のいかなる作家にもましてかれは強く執拗に主張してやまなかった。