出版社内容情報
雄町哲郎(おまち・てつろう)は、京都の原田病院で働く内科医である。
シングルマザーだった最愛の妹が若くして病を得、闘病の末にこの世を去った時、 1人残された甥と暮らすために、将来を嘱望された「凄腕の医師」は激務である大学病院を去り、町医者として働く決意をした。
大学で哲郎の力量に惚れ込んでいた准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して原田病院に送り込む。
当初、飄々とした哲郎に不信を抱いていた茉莉だったが、哲郎の医者としての確かな腕と哲学を目の当たりにして、次第に哲郎に尊敬の念を抱くようになる。
そんな時、花垣がボストンの世界的な学会で内視鏡技術を指導することになり、助手として哲郎を指名するが、哲郎はその申し出を固辞する。
いつも通り、茉莉と高齢者宅を回診していた哲郎のもとに、アメリカにいる花垣から着信があった。
大学病院で治療していた少年の容態が予期せず急変し、緊急オペが必要になったが、大学に残された医者だけでは心許なく、秘密裏にその手術をサポートして欲しいと言う。
哲郎は、かつての古巣であり、今は伏魔殿とも呼ぶべき大学病院に足を踏み入れたーー。
哲郎は何を思い、どのように手術に挑むのか。物語の最後に大きな感動が待ち受ける!
・『スピノザの診察室』刊行に寄せて。
先の見えない苦しい時代である。だが苦しいからといって、怒声を上げ、拳を振り回せば道が開けるわけではない。少なくとも私の心に残る患者たちは、そして現場を支える心ある医師たちは、困難に対してそういう戦い方を選ばなかった。彼らの選んだ方法はもっとシンプルなものだ。すなわち、勇気と誇りと優しさを持つこと、そして、どんな時にも希望を忘れないこと。本書を通じて、そんな人々の姿が少しでも伝われば、これに勝る喜びはない。
夏川草介
内容説明
雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。三十代の後半に差し掛かろうとした頃、最愛の妹が若くしてこの世を去り、一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが…。数多の命を看取った現役の医師でもある著者が、人の幸せの在り方に迫る感動の物語。
著者等紹介
夏川草介[ナツカワソウスケ]
1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。長野県にて地域医療に従事。2009年『神様のカルテ』で第十回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書は2010年本屋大賞第二位となり、映画化された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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